ニッケイ新聞 2013年7月4日
政界浄化を目的としたジウマ大統領(労働者党・PT)の国民投票実施は2014年以降にずれこみ、結果を受けた政治改革案を選挙に反映するのは2016年、ないしは18年にずれ込むことになりそうだ。3日付伯字紙が報じている。
全国規模に広がったデモに押される形で、政界浄化を目的とした国民投票を提案したジウマ大統領だが前途は多難だ。PTと連立政権を組む議会最大党の民主運動党(PMDB)内部では国民投票への反対勢力があり、同党党首のミシェル・テメル副大統領も「14年の大統領選挙に国民投票の結果を反映させるには、今年の10月5日までに全ての手続きを済ませなくてはならない」と語っているが、実現はかなり困難だと見ている。選挙に関する法の改正は選挙実施の1年前までに議会で承認されなければならない。
連邦政府がまとめたプロジェクト案は2日、テメル副大統領とジョゼ・エドゥアルド・カスドーゾ法相によってエンリッケ・アウヴェス下院議長とレナン・カリェイロス上院議長に手渡された。同案は最低171人の下院議員の支持を得た後、下両の憲政委員会と本会議で審議され、その後も上院の憲政委員会と本会議での承認が必要だ。
議会承認後の作業は選挙高等裁判所の管轄で、カルメン・ルシア同裁判所長は、投票実施への具体的な準備は70日あれば可能という見解を示している。だが、同じくPTと連立与党を組むブラジル社会党(PSB)の下院リーダー、ロドリゴ・ロレンベルグ氏は「14年選挙に適用させるために誰が読んでも分かるような明確な質問を作るのは現状では不可能」と語っている。国民投票の結果を14年選挙に適用させるには、結果を踏まえて作成した改正案を10月5日までに議会で承認する必要もあり、日程的には既にかなり困難だ。
ジウマ大統領が2日に両院議長に送った政治改革への提案は「選挙資金調達法:企業献金禁止」「選挙の投票システム変更」「選挙のためだけの政党間の連立禁止」「上院の補欠者数縮小または廃止」「議会での秘密投票禁止」の五つで、それぞれの案が具体性に欠ける上に、議会からはPTのイメージ改善のためだけのプロジェクトと強い反対が出ている。特に「秘密投票の禁止」は連邦政府に有利になるとして反対の声が根強く、また「上院の補欠廃止」でも反対が目立つ。
一方、最大野党の民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス党首は、国民投票は現実的でないとし、「大統領は国民の気持ちをわかっていない」と批判した。