ニッケイ新聞 2013年7月4日
サンパウロ州保健局によれば、今年のH1N1型豚インフルエンザの死者は、5月12日時点では55人だったが、今月2日には215人と290%増えた。3日付エスタード紙が報じた。全国の死者は339人に達している。
直近の死者は1日にジュンジアイー市で亡くなった56歳男性で、糖尿病と高血圧があったが予防注射は受けていなかった。州保健局では1367人の罹患を確認しており、その60%(663人)が大サンパウロ市圏で確認された。死者が最も多いのはサンパウロ市で、現時点で101人に達した。同局によれば、死者の70%が心疾患などの持病を有しているという。
同局疫学監視課のソランジ・ノゲイラ課長は、「豚インフルはワクチンで予防できるため、本来なら死者はいないはず。罹患しやすい要因を持ちながら予防接種を受けていない人に死者が多い」と指摘する。州政府は死者急増の理由に触れていないが、州保健局の疾患制御調整課では、通常より早い寒波到来などが、一因とみている。
サンパウロ市保健局は、特効薬のオセルタミビル約500万人分を、保健所や薬局チェーン「ドーゼ・セルタ」で無料配布している。民間診療所の医師による処方箋や保健プランで受診した患者も受け取り可能だ。同薬は、関節の痛みや高熱などの症状が現れてから48時間以内に処方すると効果が得られる。「オルタミビルはウイルスの量や症状の継続時間を減らし、予後を改善するので、持病のある患者の死亡数減少につながる」としている。