ニッケイ新聞 2013年7月6日
今回のブラジル代表(セレソン)のコンフェデ杯優勝に選手たちの底上げはやはり見逃せない。
まずは、同杯の最優秀選手にも見事輝いたネイマールの成長だ。かねてから「ペレの再来」とまで言われて国際的にも注目され、大会後には欧州の強豪クラブ、バルセロナFCへの移籍も決まっているネイマールだが、大会前の親善試合ではなかなかゴールが出ず、苛立った観客から「ピポケイラ(ポップコーン売り)」という罵声まで浴びた。
だが、今大会に入ると、シュートのタイミングの早さ、シュートの威力、相手のマークはずしやドリブルのスピードなど全てに磨きがかり、「次代のスター」としての世界中からの期待に見事に応えきった。このネイマールの成長はW杯に向けての最大の収穫だった。
また、ネイマールと前線でコンビを組むセンターフォワードで5得点をあげたフレッジの評価もうなぎのぼりだ。欧州ではなくリオのフルミネンセで活躍する国内での召集選手だが、シュートへの抜群の臭覚の良さを大舞台でも発揮し、国内随一の得点王の面目を躍如した。
そして攻撃だけでなく、今回は中盤にあたるボランチが固まったことも評価された。昨年のクラブ世界一に輝いたコリンチャンスの攻守の肝であるパウリーニョは、相手チームのエースへの固いマークと2得点を決めた伏兵的な得点能力の高さが評価され、今大会の最優秀選手の得票でも3位に選ばれた。また、パウリーニョとコンビを組むルイス・グスターヴォも、今大会がセレソンで初レギュラー獲得の機会だったにもかかわらず大活躍した。グスターヴォが所属するクラブ、バイエルン(ドイツ)は欧州のチャンピオンズ・リーグで、コンフェデ杯の決勝相手だったスペイン代表のほとんどが所属するバルセロナに圧勝していたが、その戦術をセレソンに持ち込んだ意味でも大きかった。
また、かねてから国際評価の高かった守備陣も、度々のクロスでチャンスを作ったマルセロ、決勝でのあわや同点での危機を長い足のリーチで救う美技で救ったダヴィド・ルイス、そして低迷から見事に復活した守護神ジュリオ・セーザルなど各々が成長を見せた。
コンフェデ杯で選手個々のレベルアップを成し遂げたセレソン—。W杯までは1年もないが、どんな選手に何が加えられ、どんな輝きを見せてくれるかが見ものだ。