ニッケイ新聞 2013年7月6日
【既報関連】サンパウロ総合大学(USP)の学内審議会が2日、黒人や褐色(パルド)、インディオと申告した公立校出身の受験者には獲得点数の5%加算という案を賛成多数で承認し、次回入試から適用する。3日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。
現在の同大は、私立校卒業、白人、裕福な家庭出身の学生が大半。特定の人種集団限定の優遇措置導入は同校では初だ。これ以外の公立校出身者へのボーナス点も現行の15%が20%に引き上げられ、黒人、パルド、インディオの受験生への加算率は25%になる。
これらの変更は、全学部の新入生の半数を公立校出身者、内35%を黒人、パルド、インディオに充てるという目標達成のためだ。この目標はアウキミンサンパウロ州知事と3州立大の学長らが昨年12月に提示した。1、2年生の現在の公立校出身者は28%程度で、目標達成時期は2016年から18年に延長された。この措置で不十分なら別の対策も考えるという。
ジョアン・グランジーノ・ローダス学長は「新しい血の導入は重要」としつつ、「変更はメリットを伴うべきだ。黒人、インディオ、パルドの学生優遇でUSPのレベルが下がったり教育の質が落ちたりするのは避けなければ」と述べている。
同措置には批判的な声も強い。学生中央評議会のラウル・サンチアゴ・ローザさんは「これだけで目標達成は無理」、大学院生のレアンドロ・サルヴァティコさんも「今回の協議の収穫は、社会に民族や人種の違いがあると認識したことくらいだ」とそれぞれ厳しいコメントを寄せている。