ニッケイ新聞 2013年7月9日
【既報関連】ジウマ大統領の支持率の急落により、1988年以来最大規模を誇っていた労働者党(PT)を中心とする連立与党が崩壊の危機を迎えている。8日付伯字紙が報じている。
全国規模に広がった6月のデモで、ジウマ大統領の支持率は急落した。6月下旬のダッタフォーリャ調査による支持率は同上旬の57%から30%とほぼ半減し、「14年の大統領選で誰に投票するか」の調査でも、2位のマリーナ・シウヴァ氏(持続ネットワーク・RS)に7%ポイント差まで猛追された。
この結果を受け、現在連立与党を組む政党が14年大統領選での連立を組むことに慎重になりはじめている。
ブラジル社会党(PSB)とキリスト教社会党(PSC)からは各々、エドゥアルド・カンポス党首とエヴェラウド・ペレイラ氏が、14年大統領選に独自候補として出馬することが有力視されている。カンポス氏がペルナンブーコ州知事をつとめていることで北東伯に強いPSBと、福音派に支持基盤を持つPSCの二つを失うことはPTにとっては大きな痛手となりうる。
さらに、1カ月前に14年大統領選でのジウマ氏支持を接戦の党内投票で決めたばかりの社会民主党(PSB)も、この世論調査の急変を受け、慎重にならざるを得なくなっている。特に同党内ではミナス・ジェライス地区の5人の下院議員が民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス氏の支持を訴えており、もし仮に同党がジウマ氏支持となった場合はPSDBに移籍することをほのめかしている。
また、ブラジル労働党(PTB)は、メンサロン事件を暴露したことでも知られるロベルト・ジェフェルソン元党首が既にPSDBと会談を行ったという説が流れており、進歩党(PP)もシロ・ノゲイラ党首こそジウマ氏支持の気持ちが強いものの、「党内でアエシオ氏やカンポス氏と話を持つべきだ」とする勢力がある。共和党(PR)は内部でルーラ前大統領の再出馬を熱望する勢力があり、態度を保留中。民主労働党(PDT)、ブラジル共和党(PRB)もまだ態度を明らかにしていない。
だが、PTやジウマ大統領がもっともおそれているのは、議会内最大党である民主運動党(PMDB)との関係だ。これまでも、森林法や港湾法の暫定令(MP)などを巡り、ジウマ大統領と意見が対立することが少なくなかった同党だが、ジウマ氏が全国でのデモを受け、ミシェル・テメル副大統領やレナン・カリェイロス上院議長やエンリケ・アウヴェス上院議長といったPMDBの要職者と何の相談のないままに国民投票の提案を行ったことで関係がさらに悪化している。また、PMDB内ではルーラ氏の再出馬を望む声が強いとも言われている。
現在のところ、14年大統領選でジウマ氏支持を計算できるのは、ブラジル共産党(PCdoB)のみとなっている。