ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 〃抗議の波〃から1カ月=59都市でバス賃値下げ=国民5300万人が享受

〃抗議の波〃から1カ月=59都市でバス賃値下げ=国民5300万人が享受

ニッケイ新聞 2013年7月9日

 全国に波及した〃抗議の波〃の引き金ともなったサンパウロ市での無料乗車運動(MPL)のデモから約1カ月経った現在、20万都市に住む国民の70%(全国民では27・5%)がバスや電車料金の値下げを享受したと6日付フォーリャ紙が報じた。
 同紙の調べで、州都、ならびに有権者数が20万人以上の全国90市のうち、13州都を含む59市が料金を下げたことがわかった。すなわち、少なくとも5300万人の国民が値下げを享受したことになる。
 6月28日までに1301人もの逮捕者を出し、公共交通料金値下げをはじめ教育や医療への投資など、ありとあらゆる不満を訴え、全国で100万人以上の国民が参加した〃抗議の波〃。その最もわかりやすい成果が、これだけの市の料金値下げに現れている。
 この59市のうち複数で、たとえばサンパウロ州ABC地区では2回にわたって料金が値下げされた。最初は免税によるもの、2回目はデモの圧力に屈したものだ。
 また、特にデモが激しかったミナス州ベロ・オリゾンテでは、先月29日に5センターボ、今月5日にはさらに10センターボ下がり、最終的に昨年12月までと同じ2・65レとなった。
 結果的に国民の声に応える形で行われたとされるこの値下げは、6月から発行した連邦政府によるバス会社への社会統合基金(PIS)/社会保険融資納付金(Confins)免除も影響している。
 ここ数年インフレが高騰しているにもかかわらず、公共交通料金値上げ率はこの免税措置で3・65%抑えられ、カンピーナスでは9%、サンパウロ市では6%のバス賃値上げにとどまっていたが、この値上げは〃抗議の波〃の影響で撤回された。また、ゴイアニアとその周辺19市のように、限定付の乗車無料化を導入したところもある。
 これまでもバス会社への免税措置は取られているが、かつてこれだけの市での一連の料金値下げには至らなかった。ただし、この免税が料金値下げによって発生するコストをカバーするには不十分で、今後の各市の対策が注目される。
 一方、値下げをしていない31市のうち12市は料金を据え置いたが、その大半は2年以上料金調整をしていなかった。
 値下げされていない8州都のうち、MPLが活発に活動するサンタカタリーナ州フロリアノーポリスでは、1カ月に8回も値下げを求めるデモがあったにもかかわららず、市は「値下げの見込みはない」としている。同市ではバス料金が高騰しないよう、2005年からバス会社に補助金を出しており、その額は月130万レに上っている。