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■ひとマチ点描■笠戸丸の〃戸籍簿〃

『日本汽船件名録』1923(大正12)年版

『日本汽船件名録』1923(大正12)年版

 笠戸丸研究家の宇佐美昇三さん=東京在住=から、人の「戸籍謄本」にあたる笠戸丸の船籍簿という貴重な記録データが送られてきた。
 宇佐美さんが問題として指摘するのは、『移民百年史』第5巻の編纂委員長・醍醐麻沙夫さんが書いた「序章」2頁部分で、《笠戸丸に改名される以前の船名は「カザリン号」とか「カザン号」とかいわれているが、「アリョール号」が本当らしい》という一文だ。出典は『かさと丸』(移民五十年祭委員会編、1958)とある。
 宇佐美さんから送られてきた『日本汽船件名録』大正12年版(日本汽船件名録発行所)の笠戸丸の頁の左側2行目には、「船籍港:原名」=「大阪:カザン」と明記されている。
 同様に、送付されてきた1906—7年のロイド船籍簿(Llyod’s Register、ロイド船級協会)のK項134番目に「Kasato Maru」とあり、その下に(ex-Kazan)と元がカザンであることが示されている。
 宇佐美さんは「笠戸丸の〃戸籍〃を見れば、アリョ—ルでないことは明白」とメールで強調した。(深)