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〃全国闘争〃の参加者振るわず=労組の要求と関心事乖離=組合側の足並みも不揃い=政府の出方で今後が決まる

ニッケイ新聞 2013年7月13日

 【既報関連】全国の主要労組の呼びかけで行われた〃全国闘争の日〃の11日、首都や全州都を含む68の主要都市や主要街道で行われた抗議行動は、10万5千人程度の参加で終わったと12日付エスタード、フォーリャ両紙などが報じた。

 6月6日にサンパウロ市で起きたバスや地下鉄などの公共交通料金の値上げ反対に端を発した〃抗議の波〃は、連日のデモや暴動を引き起こし、最大時は約125万人が繰り出したが、11日の全国統一ストは1割以下の規模で終わった。
 〃抗議の波〃の激しさや7月にゼネスト(全国統一スト)実施との声を無視出来なくなったジウマ大統領は、6月24日に5大公約を発表、無料乗車運動(MPL)代表などとも会い始めた。労組との会談は26日に行われたが、大統領が一方的に話し、抗議行動対応策について説明しただけと感じた労組側は、7月11日のゼネスト決行の姿勢を固辞した。
 だが、主要労組が一斉に行ったはずのゼネストは、銀行や郵便局の休業や公共交通停止なども起きたものの、予想したほど大きな動きにならずに終わった。公共交通機関が全面的に止まったのは南大河州ポルト・アレグレやミナス州ベロ・オリゾンテなどで、サンパウロ市のようにバスターミナルは一時閉鎖されたが地下鉄や電車は通常通り運行、リオでは公共交通は平常運転など、市内の様子は各地各様。交通機関が停止した所は抗議行動も盛んな一方、部分停止の所は休日並みの交通量で客や従業員が来ず店も休業など、反応も様々だ。主要街道封鎖は18州82カ所で起き、サンパウロ州でもヅットラ、アイルトン・セナ、アニャングエラ、アンシエッタ、レージス・ビッテンコートが複数箇所で封鎖された。
 また、労働者達の抗議運動にブラック・ブロックと呼ばれる集団が紛れ込んだリオでは、州政庁前で警官との抗争が起きるなど、一部地域では混乱もあった。
 各労組は就労時間短縮や年金制度見直し、「国内総生産の10%を教育投資に」などを要求したが、サンパウロ市では労働者党(PT)と繋がりの深い単一労センター(CUT)が根回しし、ジウマ大統領や政権への批判を避けようと事前に調整。諸労組合同のパウリスタ大通りでのデモは約7千人の参加で、閑散とした雰囲気だった。ただ、午前中の労組毎の集会では、CUTが大統領が提唱した国民投票支持などを訴えた一方、フォルサ・シンジカルはジウマ政権の経済政策を厳しく批判、ギド・マンテガ財相更迭やジウマ退陣要求まで飛び出した。
 今回のゼネストは、〃抗議の波〃に乗じた抗議行動で、社会ネットワークサービスなどの利用度が低い、政党、政治色がより強い、労働条件改善などの古くて新しい要求が中心といった理由で求心力低下を招いたとの見方があるが、ペルナンブコ州の農地占拠運動(MST)代表は、今回のストはより本格的なストに向けた準備のようなもので、連邦政府が国民の要求に本気で応えようとしなければ本格的な統一ストが起こると見ている。