ニッケイ新聞 2013年7月13日
経済基本金利(Selic)が10日、今年に入って連続3度引き上げられ、年8・5%となった。11〜12日付伯字紙が報じている。
9、10日に行われた中央銀行の通貨政策委員会(Copom)の会議では依然インフレ傾向が強いことが確認され、物価高騰を抑えるため、Selicを前回5月29日に定めた8・0%から0・5%ポイントあげた8・5%にすることを満場一致で決めた。
Copomによると、インフレ傾向はさらに長引くことが予想され、8月27、28日に予定されている次回の会議でさらに0・5%ポイントの上昇を示唆している。また、10月にもさらに上昇すると見られている。ウエストLB銀行ブラジル支部のルシアーノ・ロスタグノ戦略部長やイタウ銀行は、2013年の最終的なSelicは9・75%になるであろうと見ている。
ここ数年、ブラジルの国内総生産(GDP)は年3%以下の低成長が続いている。そうした低成長時は通常ならインフレは起きにくいのだが、現在のインフレ傾向は、ドル高騰による圧力も受けている。10日のドル価は0・27%上昇し、1レアル=2・27レアルとなり、2009年4月1日以降の最高記録を更新している。中央銀行元理事のカルロス・サデウス・デ・フレイタス氏によると、1レアル=2・10ドル前後に抑えられると、インフレを抑えるためのSelicは9・50%で十分だとの見解を示している。
6月末時点の直近12カ月の累積インフレは、政府目標上限の6・5%(公式目標は4・5%)を上回る6・70%に達しているが、アレッシャンドレ・トンビニ中銀総裁は、年末時点のインフレ率は昨年の5・84%以下、14年は5%以下になると約束している。
また、インフレ抑制の手助けとして財務省は財政支出をカットし、GDPの2・3%にあたる基礎的収支の黒字額を確保するとしている。フォーリャ紙によると、政府は来週、110億〜130億レアルの予算カットを発表する見込みだが、市場の見方は厳しく、余剰はGDPの1・7%ほどで終わると見ている。
なお、Selicが8・5%になっても、投資家たちにとってより魅力的なのはファンドよりポウパンサの方だ。12年5月3日以前に預金された旧式のポウパンサは月0・50%の利子、5月4日以降に預金された新型のポウパンサでも月0・48%の利子がつくため、銀行側の管理手数料が1・0%のファンドでも1年半以上おかない限り、ポウポンサの方が有利となる。