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中銀指数が1・4%後退=08年末以来の落ち込み=経済成長2%未満説も

ニッケイ新聞 2013年7月16日

 中央銀行が12日、5月の経済活動指数(IBC—Br)が前月比1・4%低下し、2008年12月の国際的な金融危機以来、最大の下げ幅を記録したと13日付エスタード紙が報じた。14日付同紙によれば、工業生産や小売販売も思わしくない中、今年の経済成長率は2%以下との予想も出始めている。
 地理統計院(IBGE)の国内総生産(GDP)成長予想は3カ月毎の発表だが、IBC—Brは、中銀通貨政策委員会(Copom)が経済基本金利(Selic)を決める際の資料として使えるよう、毎月算定されている。
 経済活動指数が前月より下がったのは今年2回目だが、1・4%という大幅な低下はリーマンショック以来で、月末の連休などを加味しても1%程度と踏んでいた市場関係者を慌てさせた。
 1〜3月のGDP成長率が0・6%だったと発表された時点で下方修正された今年の経済成長率を更に、下方修正する動きが市場にある。米国の野村證券は2・5%を1・6%に、BNPパリバスも1・9%に下げた数字を発表した。
 ブラジルの経済成長は昨年から頭打ち状態で、2011年は2・7%だったGDPの伸びが、12年は0・9%で終わった。大統領選挙を翌年に控えた今年、税収減などを理由に基礎的収支の黒字目標をGDPの2・7%以上に下方修正したジウマ政権としては、政権初年の11年並みの2・7%の成長を確保したいところだ。だが、5月の経済活動が予想以上に縮小、6月もマニフェストの連続で経済活動の落ち込み蛾予想される中、4月までの累積指数で0・1%程度の成長という状況を覆すのは容易ではない。
 ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)経済研究所によれば、経済活動指数低下には工業生産の縮小と小売販売の伸び悩みが影響しており、今年の工業生産は1・5%程度の伸びと予想。販売が伸び悩んでいる小売業界は発注を遅らせたりして在庫調整をしているが、受注量が減った工業界でも在庫が膨らみ、生産体制の見直しを迫られ始めているのが実情だ。
 FGVでは、公共工事や融資拡大、所得向上などの要因で、年間成長率は2・3%程度に達すると予想している。しかし、電力料金値下げ、工業製品税引き下げ延長などの減税措置、最近のドル高レアル安をもってしても、工業生産を上向かせるのは容易ではないようだ。
 経済活動指数が予想以上に低下した事で市場では経済活性化を叫ぶ声が高まる事が予想され、8月に0・5%ポイントの再引き上げが予想されていた経済基本金利の調整サイクルが見直されるという予想さえ出始めた。