ニッケイ新聞 2013年7月16日
12、13日付伯字紙に非常に対照的な記事 が出た。一方は、23日からリオで始まるワールドユースデーに参加するフランシスコ法王が、ホテルや航空機をより簡素なものに変更させたというもので、もう一方は、ブラジルの政治家達が空軍機を当然の権利の如く乱用しているというものだ▼フランシスコ法王はより快適なベッドや特別機を断り、同伴者と同じベッドと同じ空港からの飛行機にこだわり、人ごみを避けるために搭乗口だけは別のものを使ってくれとの頼みをやっと呑んだ。13日付の新聞には、予定変更で法王用の部屋をしつらえ直す女性の写真も掲載されていた▼それに対し、政治家の空軍機利用は、どう考えても職権乱用としか思えないものが続く。下院議長が6月にコンフェデ杯決勝を見に行くため、北東伯の出身地まで空軍機を飛ばした後、家族同伴でリオまで往復した。上院議長が上院議員の結婚式に行くのに空軍機を使った。リオ州知事が自宅から州政庁までの10キロを空軍ヘリで通勤など、数えだしたらきりがない▼もちろん、職務上、緊急を要する場合もあるから、空軍機の利用を禁じろという気はない。だが、国民の税金で動かしているのだから節約すべきという考えはさらさらなく、特権は使って当たり前、自分はそれに値する立場だと開き直るあたりは鼻白む▼景気回復の遅れと減税措置で税収が減り、支出削減、政治改革の声も上がる中、現職閣僚らが上半期に空軍機を使った回数は昨年上半期の39%増しという報道に首を傾げたくなる人も多いのでは。次回選挙では権利の行使には責任が伴うと知る人が出てきてくれるといいのだが。(み)