ニッケイ新聞 2013年7月17日
チームの大スター、ネイマールのヨーロッパ進出を受け、誰の目にも大きなダメージを受けたかに見えるサントスFC。だが、ここ数試合を見る限り、そんなネガティヴなイメージには全く見えない。むしろその逆に、チーム自体に活気が出てきたようにさえ映る。それも、そのはず、もうサントスには「ポスト・ネイマール」を期待させる新人選手が続々と現れはじめているのだから。
14日の全国選手権の対ポルトゲーザ戦にサントスは4—1で快勝したが、その試合で2得点をあげたのが「ポスト・ネイマール」の期待を一心に受けるネイルトンだ。2月に19歳を迎えたネイルトンは、今季一軍にあがってきたばかりだが、それまではサントスのジュニア・チームのエースとして知られ、その潜在能力はヨーロッパの強豪チームからも注目されていたほどだ。
この日の2得点を含め、出場6試合ですでに3試合を記録。名前そのものも「ネイ」まで同じで、真ん中が逆立った髪型も同じ。「ネイマールの再来」との期待は、サントス・ファンだけでなく、ブラジル一のスーパースターを失った国内のクラブを応援する人々の胸中にも思わず湧いてくるものだ。
また、14日の試合でも1得点を記録し、出場わずか2試合で2得点を記録したジーヴァも、ネイルトンと共に今季から1軍に上がってきたばかりで、こちらも弱冠20歳。そして、まだ得点こそあげていないが、「ガビゴル」の異名を取る弱冠16歳のガブリエルも、もう既に4試合に出場している。
この3人の若きストライカーへの期待感だけで、本来ネイマールの離脱でダメージが大きかったはずのサントスの今季の全国選手権は十分楽しめそうだ。
そうなると、当初ネイマール離脱の後を受けて進行していた、かつてのサントスのスター、ロビーニョ(イタリア・ACミラン)の復帰計画が頓挫したのは、ネイルトンたちの出場チャンスを増やすことにつながり、「不幸中の幸い」ということにもなるだろう。そのロビーニョが、2002年にサントスが34年ぶりの全国選手権優勝を果たした際の「ヤング・サントス」の象徴的選手(当時18歳)だったのは皮肉な話ではあるが。