ニッケイ新聞 2013年7月18日
理系分野の大学生、大学院生、ポスドク(博士研究員)などを、連邦政府の奨学金で国外に留学させ、国の科学技術発展の促進と競争力の強化を図るプログラム「国境なき科学」(Ciencia Sem Fronteiras)。ジウマ・ルセフ大統領が2011年に打ち出した肝いりの事業は、2015年までに約10万人を送り出すことを目標にしており、この6月も1万3480人の公募が行われた。
1万3千人の留学先は、ドイツ(2千人)、オーストラリア(2250人)、カナダ(2188人)、韓国(292人)、米国(2千人)、フィンランド(300人)、ハンガリー(2300人)、日本(150人)、英国(2千人)の計9カ国。
合格者は来年半ばにそれぞれの国へ出発する。奨学金が出る期間は原則として1年だが、言語訓練のコースを並行して履修する場合は半年の延長が認められている。
同プログラムのウェブサイトによれば、留学生の受け入れを表明しているのは少なくとも26カ国。プログラムの実務担当機関である国家科学技術開発審議会(CNPq)によれば、今年5月までに、既に2万2300人に奨学金が与えられているという。
同プログラムの一期生として米国インジアナ州に留学中のダニエル・オリベイラさん(22)は、機械工学専攻。勉学に励む一方、同じブラジル人の友人と「ブラジリアンデー」というイベントを企画し、地元の学生に大好評だったとか。
「ブラジル文化の一端を知ってもらえた。(アメリカ人も)ブラジルに対して良いイメージを持ってくれたと思う」と満足げだ。
帰国前には、世界最大級の紙・包装資材メーカーである「インターナショナルペーパー・カンパニー」で研修も行う予定だという。
「外国に出て、ブラジルに対して違う見方ができるようになった。欠点もたくさん見えてくるけど、それを変えられる可能性にも気づけた。もっとブラジルをいい国にできると思う」と、帰国後の活動への意欲も見せた。
このプログラムでは米国への留学が最も多く、目標とする10万人のうち、5分の1に当たる2万人が同国に渡るとみられている。(6月6、7日配信グローボ局ニュースサイトより)