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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年7月23日

 21日付エスタード紙に、ジウマ大統領が「私は聴く事を知っている」と書いた文書を労働者党(PT)に送付との見出しが躍った。「20日は法王の身辺警備などに関する会議があり、同日の党の会議には行けない」と19日に聞いた党幹部らが、「ジウマは誰の言う事も聴かない」と批判した事への返信だ▼主要党員らは大統領の欠席はルーラ前大統領に対する反抗心の表れとも言ったようだが、大統領は「私は最初から聴いている。私達は(国民が街頭で上げている)声を聴いている。なぜなら私達も街頭から来たのだから」と釈明後、「いくら聴いても実行に移さなければ不充分だ」と続けた▼PTが国民から乖離し左派としての色合いを失いつつあるとの批判もある中、何としても国民投票を行い、来年選挙に反映させたい大統領とそれを支援するPTだが、党内がジウマ支援一色ではない事が伝わる話だ。国会休会などで審議時間も足りない中での投票強行は中途半端な結果に終わらないかも気にかかる▼副大統領が国民投票は14年選挙に間に合わないと発言後、前言を撤回させた大統領。有能な人で、周りにも自分が望む事を自分が決めた時までに実現する事を求めると前政権時代から言われていたが、一国の長たるは容易ではない▼指導者は最後は一人で決断する必要に迫られる事も多いが、無理難題に党や国民がついて来るかは本人次第。故吉田昌郎福島原発所長には原発事故後も「吉田さんのためなら死ねる」という部下が大勢いたというが、大統領が周囲の声に耳を傾け、相互理解に務めなければ自分のために死んでくれる仲間や部下獲得は困難だ。(み)