ニッケイ新聞 2013年7月24日
ブラジル映画史上最大のヒット作といえば、2007年、10年に公開された「エリート・スクワッド(原題・トロッパ・ダ・エリッチ)」シリーズだ。リオのファヴェーラの麻薬組織を追跡する軍警察の姿を追ったアクション映画は、2007年のベルリン映画祭金熊賞を受賞するなど批評家たちからも絶賛され、ブラジル国内での興行記録を塗り替えた。
この映画を手がけた監督ジョゼ・パディーリャは国際的にも高い評価を受け、ハリウッドに進出することにもなったが、アメリカでの第一作は、1980〜90年代にかけて世界的に大ヒットしたSFアクション映画「ロボコップ」のリメイクという大作だった。
2011年に制作契約を結んだパディーリャだったが、制作には時間がかかり、公開が予定より遅れていた。18日から21日にアメリカのサンディエゴで開催された、SFやコミックの祭典「コミコン・インターナショナル」で予告編が初披露された。
「ハリウッドからは制作費として1億2千万ドルもらった。公開となると予算は3億ドルまで膨れる。これはブラジルの映画界で1年に使われる総額以上の金だよ」とパディーリャはハリウッドの制作規模に驚く。スタジオでは頻繁に意見交換が行われるが、「こういう経験はしたことがない。でも、多くの人が関わっているのでそれは理解できる」とパディーリャは語っている。
注目の内容についてパディーリャは「社会的かつ道徳的に問題を提起したものになっている」と語り、さらに「アイアンマンやスパイダーマンは子供がなりたいと憧れるヒーローだが、女性や子供は今回のロボコップには憧れないだろう」としている。
「コミコン」でいち早く予告編を見た観客の間では「オリジナルとは全く違う」という印象が強く、賛否両論。「楽しみ」「がっかり」の両方の声が聞かれている。
ブラジル人映画監督の手がける作品としては過去最大規模の予算でつくられ、最大の国際ヒットも予想されている「ロボコップ」は、14年2月に公開される。(23日付フォーリャ・デ・サンパウロ紙より)