ニッケイ新聞 2013年7月25日
ブラジルの伝説的な修道女(ポルトガル語ではイルマン)ドゥウセ(Dulce、1914—1992)の一生が、来年の生誕100周年を記念して映画化されることが決まった。注目の主役は若手演技派のデボラ・セッコに決まった。
ドゥウセの本名はマリア・リタ・デ・ソウザ・ブリット・ロペス・ポンテスで、バイア州サルバドールを拠点とし、ホームレスや病気を患った貧しい人たちの救護活動を行い、救護財団や病院の設立などにも尽力したことで知られている。
その活動と隣人愛の深さは国内外に広く知られ、1988年、時のジョゼ・サルネイ大統領からノーベル平和賞の候補に推薦された(受賞はならず)。92年に死去した後、2011年に時のローマ法王ベネディクト16世より、セイント(聖人)の次の位にあたるベアット(福者)の称号を与えられた。
2001年にはIsto E誌の「20世紀の宗教的女性」に選ばれ、2012年にSBT局が行った「ブラジルが生んだ最も偉大な人物」の選考会(100万人以上が投票し100人を選出)でも、ヴァルガス大統領やペレ、アイルトン・セナなどと共に上位12人の中に選ばれている。
2014年はドゥウセの生誕100周年にあたる。裕福な家の出身ながら、13歳にして固い決意と共に修道女の道を目指し、周囲の無理解と戦いながら貧しい人たちのために尽くし、晩年は自分の病とも格闘しながら生きたドゥウセの人生は注目度も高く、このたび映画化されることも決まった。
注目のドゥウセ役は、人気女優のデボラ・セッコ(33)に決定した。デボラ・セッコは現在の20〜30代のノヴェーラ(TVドラマ)の主演級女優としては上位に入る実力派だ。2010年のヒット映画「ブルーナ・スルフィスチーナ」では売春のネット・ビジネス化で成功する売春婦を演じて話題となり、それ以外でもセクシー派女優としても知られていたが、その一方でごく平凡な主婦役もこなし、癌患者の役を10数キロの過酷なダイエットと共に演じきるなど、芸域の広さで知られている。その才能にはアメリカの大物映画監督スティーヴン・スピルバーグも目をつけているほどだ。
撮影は11月からサルバドールではじまる予定だという。(7月24日付エスタード紙などより)