ニッケイ新聞 2013年7月26日
県連日本祭りの屋内展示場では、被災地招聘交流事業によって来伯した大和田加代子、松本康裕、天野和彦の3氏による『復興写真展』が開かれ、多くの非日系人を含め来場者が熱心に見入っていた。
灰色の煙を上げる黒い波の塊が民家を飲み込む瞬間や、瓦葺の屋根を残して倒壊した家屋にさらに別の家の屋根が覆いかぶさっている様子など、震災直後を記した写真に加え、震災の前と後、直後と4カ月後など定点を観測したもの、復興に向けた被災者の活動を記録したものなど42点が展示された。
非日系のレアンドロ・ナルシーゾさん(34)は独学で学んだ日本語で松本さんに熱心に質問を投げかけ、「僕は日本の文化が大好き。震災の後ずっと心配していたけど、こちらにはなかなか生の情報が入ってこなかった。津波に家をのまれたという話は本当に衝撃的だった」との感想を漏らし、「まだまだ大変なことは多いようだけど、前向きに明るく生きていく意志を彼の言葉から感じた。自分も頑張ろうという気持ちが沸いてきた」などと、しみじみ語った。
一枚一枚、時間をかけてじっくりと写真を覗き込んでいたジャイメ・フレイレさん(27)は、「とにかく衝撃的」と前置きし、「被災地のことは前から気になっていたが、この写真展で初めて本当の被害規模が分かった気がする。このような展示はどんどんやってほしい」と強く要望した。
ブース内では、宮城県名取市の箱塚桜仮設住宅に居住する被災者らが作った布製の地蔵マスコットも販売され、用意した40個が完売した。
同地での支援活動に二度参加し、当地に地蔵を持ち込んでいた留学生の山本宗一郎さん(30、東京)が、ボランティアとしてブース出展に協力したことが販売のきっかけ。山本さんは「日系人だけでなく、多くの非日系の方々も関心を示し、購入してくれたことは本当に嬉しい」と笑顔を浮かべた。