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JMJ最終ミサに300万人=大イベントは無事終了=民衆の心掴み真価を発揮=W杯や五輪への課題は?

ニッケイ新聞 2013年7月30日

 【既報関連】23日に始まったカトリックのワールドユースデー(JMJ)は28日朝、300万人が参加したミサをもって終わりを告げ、フランシスコ法王も28日夜、バチカンへの帰途に着いたと29日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。

 22日にリオに着いた法王は、1週間を精力的に過ごして従来の法王のイメージを完全に書き換えた上、最終日の28日朝は過去最高の300万超の会衆が参加するミサを執り行い、法王としての真価を発揮した。
 3月19日の就任後、法王として初めての国際イベントは、出身地のアルゼンチン始め、180カ国からの信者が参加するメガイベントとなり、27〜28日にかけての集会には300万人を超える人々が集まった。
 カトリック信者が人口の57%に減ったとはいえ、世界最大の信者数を誇るブラジルは、1市では過去最大の180カ国、200万人の観光客を迎えてJMJを開催。法王到着のその日から熱烈な歓迎ムードに包まれた。
 法王と巡礼者双方の熱気は、11年マドリード大会を上回る320万人(主催者発表、一部メディアは350万、ダッタフォーリャは120万と発表)の参加者を得た祈りの集会と各信者を出身地に送り出すミサに結集された。法王が執り行ったミサ参加者はいずれも10万人を超え、最終日のミサにはジウマ大統領やアルゼンチンのクリスチーナ大統領、ボリビアのエボ・モラレス大統領など、中南米の政府要人も参加した。
 カトリック教会内の分裂をいさめ、教会が民衆の中に出て行くことの必要を説き続けた法王は、27、28日の集会でも「青年の魂を獲得するために最も有効なのは青年が伝道する事」と語り、若者の心を揺すぶった。薬物中毒者やファヴェーラの人々にも接した法王は、言葉以上に行動で語り、高齢で病気がちという従来の法王のイメージを払拭。ブラジルで初めて、法王としての真価を発揮したとも言われている。
 法王滞在中は、主催団体と市役所、連邦警察などの連携ミスから、到着初日に法王を乗せた乗用車が渋滞に巻き込まれ、民衆が法王に直接触れられるほど間近な所まで人が押し寄せるという事態も起き、あいにくの寒さや雨、開会ミサ当日(23日)の地下鉄の故障、最終イベントの会場変更、トイレの不足といったトラブルも続いた。また、法王自ら専用車を降りたり、子供を祝福したりといった行動で警護担当者を慌てさせる事もしばしばだったが、パエス市長らは、14年のW杯や16年のリオ五輪では10万人規模の人の動きに対応できれば十分として、今回のメガイベントで十分な手応えを感じているという。
 貧しい人々に目を向け民衆により近くを目指して1週間の日程を精力的にこなした法王は、バチカン改革の重責を覚える一方で、「今から寂しさを感じている」「次の来伯の時(17年のアパレシーダ訪問)を楽しみにしている」「私のために祈ってほしい」と言いつつ機上の人となった。