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MTVが有料チャンネルに=地上波放送23年の歴史に幕

ニッケイ新聞 2013年7月31日

 地上波放送のチャンネルとして23年間ブラジル国民に親しまれてきたMTV(ミュージック・テレヴィジョン)が8月いっぱいで地上波放送を終了し、10月から有料放送に切り替わることが明らかとなった。これはブラジル音楽史の一つの時代の終わりを意味する。
 MTVはアメリカを母体として全世界的に展開する音楽チャンネルで、ブラジルには1990年に上陸した。アメリカではケーブルTV文化の勃興と共に1981年に誕生したが、当時のブラジルはまだケーブルTVが一般的でなかったため、UHF局(超短波局)からの無料地上波放送としてはじまった。
 放送開始当時、音楽はミュージック・ビデオの登場でマイケル・ジャクソンやマドンナをはじめとした世界的大スターを生み、エンターテイメント界で映画を上回る影響力を世界的に持っていた。その頃、ブラジルではロック・イン・リオが成功したこともあり、欧米のバンドがコンサートでやってくる時代のはしりを迎えていた頃。MTVは熱狂的に迎え入れられた。
 MTVは欧米のヒット曲を紹介するのはもちろんのこと、ブラジル独自の文化を作ることにも寄与した。90年代後半には、バンドが生楽器での生演奏を収めたライブ盤「MTVアクースチコ」が大ヒットし、ヒタ・リー、カピタル・イニシアル、チタンスなど70〜80年代の国産の実力派歌手やバンドを低迷から脱出させるのが一つの流行となった。
 また、MTVで音楽を紹介する司会者からも、後にTVグローボの看板番組「ファンタスチコ」の司会となるゼッカ・カマルゴや人気コメディアンのマルセロ・アドネットなどが生まれた。サンパウロ市長選の立候補常連の女性政治家ソニーニャもMTVの司会者出身だ。
 特に若者に強い影響力を持ってきたMTVだが、近年ではネットでの動画サイト、ユーチューブに押され、テレビであえてミュージック・ビデオを見なくても良くなったことで影響力が落ちていた。本国アメリカでは90年代後半に音楽チャンネルとしての路線に見切りをつけ、バラエティ路線に転換。ブラジルでも、ここ1年はMTVブラジルの身売りの噂が絶えず、番組出演者の相次ぐ退社などが起こっていた。
 アメリカ本国の親会社ヴァイアコムの話では、「ブラジルでのケーブルTV市場の拡大に伴う移行」とのことだが、今後の放送内容は完全に変わる。ブラジル人スタッフによる独自プログラムは1年にわずか350時間に抑えられ、あとはアメリカでの放送内容をポルトガル語翻訳したものとなる。
 アメリカでの現在の放送は、もはやミュージック・ビデオを流さず、スターの私生活を追ったドキュメンタリーなどがほとんどとなっている。世界のMTVの中ではかなり貴重となっていた、ミュージック・ビデオの放送に最後までこだわり続けていたMTVブラジルのスタイルは終止符を打つことになる。(29日付フォーリャ紙より)

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