ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 自治体の人間開発指数改善=寿命や所得は〃高〃に=教育の大切さを皆が認識=今後の課題は格差の解消

自治体の人間開発指数改善=寿命や所得は〃高〃に=教育の大切さを皆が認識=今後の課題は格差の解消

ニッケイ新聞 2013年7月31日

 2010年の国勢調査を基に算出した自治体毎の人間開発指数(IDHM)が29日に発表され、総合指数が〃非常に低い〃自治体が1991年の85・8%から0・6%に減り、〃高い〃と評価された自治体も3分の1に増えるなど、大幅な改善が見られたと30日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。

 総合評価上位の市は、サンパウロ州サンカエタノ・ド・スルの0・862、同アグアス・デ・サンペドロの0・854、サンタカタリーナ州フロリアノポリスの0・847など、南東伯と南伯が占めた。
 一方、下位はパラー州メウガッソの0・418、マラニョン州フェルナンド・ファウカンの0・443、アマゾナス州アタライア・ド・ノルテの0・450など、北伯と北東伯が占めた。北伯と北東伯は91年の評価も低かったため、今回の評価での改善率も他地域より高い。00年比で最も改善したのは、州立公園開設で観光収入が増え教育改善も進んだトカンチンスのマテイロス。5〜6歳児の就学率は34・6%が75・6%、総合評価も0・281が0・607に改善した。
 5〜6歳児就学率と18〜20歳の青年の高校卒業率などで算出する教育の全国平均は、0・279だった91年比156%伸び、寿命や所得以上に改善されたが、3要素では唯一普通レベルとなり、総合指数改善の足を引っ張った。教育指数0・800以上の自治体は連邦直轄区とサンパウロ州内の計五つで、北伯と北東伯では0・600未満が90%以上、中西伯では90%が普通か低い、南伯と南東伯では半分以上が普通以上と地域格差が大きい。だが、全国の18〜20歳の高校卒業者は41%で、91年の13%より大幅改善した。
 教育指数1位のサンパウロ州アグアス・デ・サンペドロでは、5、6歳児は全員就学、青年の75%が高校を卒業している。市内の学校は市立と州立の二つのみだが、スポーツや音楽の課外活動や補習、カウンセリングなどの特別活動も行っている。
 一方、教育指数最低のメウガッソは、通学手段がヘリコプターか8時間かかる舟。中学卒業(就学年数8年以上)の成人は12・3%、5、6歳児の就学率は59%で、18〜20歳の高校卒業者は5%しかいない。
 メルカダンテ教育相は今回発表の指数を前に、「今後の課題は地域格差解消」と発言している。
 IDHMは平均寿命と所得、教育の3要素を基に算出され、0・499以下が非常に低い、0・500〜0・599が低い、0・600〜0・699が普通、0・700〜0・799が高い、0・8以上が非常に高いと評価される。
 1991年のIDHMの平均は0・493だったが、2000年は0・612、2010年は0・727に改善。各要素の平均は平均寿命0・816、所得0・739、教育0・637で、教育に力を入れる必要性が改めて確認された。
 IDHMは州単位と市単位で算出され、総合評価最高の州は連邦直轄区(0・824)、以下、12州が高いと評価された。残る14州は、最低の0・631だったアラゴアスまですべて普通と評価された。