ニッケイ新聞 2013年8月1日
7月28日にリオ市で開催された世界ユースデーの最終ミサに出席し、フランシスコ法王とも短い会談の時を持ったアルゼンチンのクリスチーナ・キルチネル大統領が、法王からプレゼントされた孫用の靴が話題になっている。
2週間前に生まれたネストル・イヴァン君のために選ばれたのは、1962年創業でブラジルのエスピリトサント州に工場が二つあるピンポーリョ(pimpolho)社製の白い靴。同社では300種類以上の製品を作っており、最も高いものでも25ドルと手ごろな値段だが、大統領がもらった白い靴はアルゼンチンでは販売されていない「幻の靴」なのだ。
ピンポーリョ社の製品がアルゼンチンで販売されていないのは、同国が設けた貿易障壁のためにブラジルから直接輸出できなくなっているため。同社では約4年前からアルゼンチンへの輸出を停止しており、自社製品がイヴァン君へのプレゼントとして選ばれた事を宣伝に使う意図はない事を表明しているが、アルゼンチンのメディアは法王がプレゼントした靴の事を、「天国からの小さな靴」を意味するサパチーニョス・セレスチアイスと揶揄まじりに報道した。
アルゼンチンでは手に入らないという意味と、神の国の使者とも言うべき法王からもらった靴の意味が込められた名前かもしれないが、同性愛者の結婚や中絶を認める法案認可で、クリスチーナ大統領と法王に選ばれる前のベルゴリオ枢機卿との関係がギクシャクしていた事は周知の事実。同枢機卿が法王に選ばれた後はクリスチーナ大統領の側がしきりに関係修復を図って来た事も広く知られており、現在に至るまで和解した状態が保たれている。
ピンポーリョ社以外で法王との関係で名前が広く知れ渡ったメーカーはFiatだ。法王がリオ滞在中に使い、世界中にその映像が流れた乗用車は同社製のIdeaで、同社では「フランシスコ法王、よいアイデア(Idea)だ」の一言を添えたIdeaの写真をあたかも天に上げられたかにアレンジしてフェイスブックに掲載している。(7月30日付エスタード紙ならびに7月29日付EFEサイトより)