ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 航空業界の経営難深刻化=TAMが1千人を解雇か=インフラエロの職員ストも

航空業界の経営難深刻化=TAMが1千人を解雇か=インフラエロの職員ストも

ニッケイ新聞 2013年8月1日

 ドル高や燃料高騰などで航空業界が経営難に直面する中、TAMが7月30日に1千人規模の人員整理計画を発表し、職員らが抗議行動を行ったと31日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。31日は全国63の空港でブラジル航空インフラ業務公社(インフラエロ)職員による無期限ストも始まった。
 ブラジル経済が順調だった時は業務拡張の一途だった航空業界も、昨年は大手のGOL、TAMが15億レアルと12億レアルの赤字計上など、経営難が続いている。
 航空業界の経営難は、欧州経済危機などによる景気減速が長引き、各種のイベント数や規模が縮小し、それにあわせて旅行する人が減った事、合併吸収に伴う大型投資、消費者の購買力低下その他、種々の要因が背景にある。今年に入ってからのドル高レアル安はそれに輪をかけ、燃料費その他の経費がこれまで以上に経営を圧迫し始めた。
 これらの事態に対応するためにGOLやTAMが採用したのが、便数削減や人員整理だ。集客力低下が特に著しいのはTAMで、6月の1キロ当たりの座席提供数は、昨年同月の実績である3932を10・7%も下回る3510だった。
 航空業界全体では9510から9236に2・9%低下したのみで、TAMの落ち込みぶりは突出。市場占有率も、TAMは昨年6月の41・35%から38%に大きく低下。GOLが33・63%を38・39%に伸ばしたため、残りの航空会社の占有率も25・02%から22・61%に落ちたが、TAMの業績悪化はここでも顕著だ。
 座席提供数の低下は便数削減も伴うため、現状の運行数や景気見通しに合わせた整理の対象となるのが正副操縦士や客室乗務員だ。正式な削減数は1日発表の予定だが、希望退職を含め最大1千人の整理計画は同社職員を不安に陥れた。同社は今年、既にこの範疇で90人を解雇。GOLが昨年解雇した850人の大半は、現在も失職中だ。
 一方、給与や手当て、利益分配などの待遇改善を求めて4月から交渉を続けていたインフラエロ職員は31日に無期限ストに入り、民営化後のブラジリア、グアルーリョス、ヴィラコッポスを除く空港でロビーの監視や監査業務などを停止。ストとの関係は不明だが、7月31日午後1時現在の国内便は1249便中遅発187、キャンセル73、国際便は79便中遅発17、キャンセル4と報告されている。