ニッケイ新聞 2013年8月6日
今週から上院、下院共に議会が再開するが、現在、連立与党の議員の間で連邦政府に有利な投票をする割合が1989年以来、最低レベルに落ち込んでいることがわかった。4日付伯字紙が報じている。
4日付フォーリャ紙は、1989年から2013年に至るまでの下院での議案審議において、連立与党内の議員たちが連邦政府の意向に沿った投票を行った割合をグラフにして発表した。
それによると2013年は1〜6月の上半期の集計ではあるが、ジウマ政権に有利な票は69・3%と、集計の行われた1989年以来最低の数字を記録した。
前任のルーラ政権(2003〜10年)では、80%を割ったのは共に78%台だった2006年と2010年しかなく、その前のカルドーゾ政権(1995〜2002年)では、全ての年において85%を記録している。カルドーゾ政権は連立与党の数が四つしかなく、九つの現ジウマ政権と一概に比較できない面もあるが、数字だけで比較すると、下院での連立与党内での結束力に差が生まれる結果となっている。
ジウマ政権の場合、初年の2011年には89・1%と高かったものの、石油のロイヤリティ問題や電気代の値下げに伴う電力会社の契約更新の見直し問題などで反対票が起きた2012年には、既に歴代最低の75・5%(それまでの最低はコーロル政権が91年に記録した76・5%)を記録していた。
また、各党毎の内訳をみると、2013年上半期の場合、ジウマ大統領の所属する労働者党(PT)こそ96%と高かったものの、他に80%を超えたのは82%のブラジル共産党(PCdoB)しかない。
ジウマ政権にとって特に頭が痛いのは、連立与党最大党の民主運動党(PMDB)内で連邦政府への反感が強まっていることだ。13年上半期に連邦政府の意向に準じた投票を行ったPMDBの下院議員は57%。これは九つある連立与党のうち下から2番目で、副大統領を擁する政党としては極めて低い。なお、最も低い48%を記録した社会民主党(PSD)は、連立与党参入を正式には宣言していない。
PMDBはルーラ政権時には80〜90%台の忠誠度を示し、連邦政府に好意的な党としての立場を貫いてきたが、昨年の石油のロイヤリティに関する審議開始以降は反対票が目立ち始め、今年に入っても、四つの連邦地方裁判所新設、勤続期間保障基金(FGTS)の追徴金の徴収廃止などで連邦政府と意見の対立を起こしている。また、今年に入ってからの議案審議の90%以上で連邦政府の希望に沿った投票をしたPMDBの下院議員は、全80人中わずか4人しかいない。
連立与党内での忠誠度の低下は、この後の法案審議のみならず、14年の大統領選にも影響する問題だけに、ジウマ大統領にとっても早急な対策が必要な問題だ。