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援協=新会員には割引特典を廃止=旧会員には減額のみか=会員メリットが大きく変化=変更内容はまだ流動的

ニッケイ新聞 2013年8月7日

 サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)は、この7月1日以降に入会した新会員への診療割引制度を廃止している。援協役員によれば、今回廃止に至った主な理由は「法的な問題」だという。6月末までに入会していた旧会員に対しては、割引額が減額されたとはいえ、とりあえずは、割引を維持している。しかし各会員への幅広い通知はなかったため、会員の一部の間では情報が錯綜しているようだ。援協役員も協議を重ねている状態で状況はまだ流動的であり、今のあり方も変更される可能性もあるという。

 「コロニアへの恩返し」「生活の苦しい人も診察を受けられるように」などの理由で導入されていた会員への割引制度だが、厳密にいえば法的には好ましくない部分があったようだ。さらに近年は割引という〃特典〃を目当てに加入する会員が増え、「検査の種類によって割引がない」ことに苦情を寄せる会員すら現れた。
 元々は日系人が大半だった会員だが、非日系人も増えており、かつてない種類の苦情も頻繁になってきた。こうしたことを機に今回、制度の見直しが行われたようだ。
 会員の年会費は90レアルであり、通常の医療保険などに比べたら格安だ。この6月末までは会員全員が割引制度の対象で、診察および一部の検査項目に割引が適用されていた。年に何度か施設を利用する会員にとっては、保険に入るよりも〃おトク〃な制度だった。
 坂和三郎副会長は「本来は、援協に〃協力したい〃と思う人が加入するのが会員制度。でも、制度の趣旨を誤解している人も多くなってきた」と訴える。役員間で共通理解を図ってはいたが、割引制度を売り物に会員を集めることも事実上あったとみられ、そのように趣旨を混同する会員が増えていた。それが、件の苦情に繋がったようだ。
 今後、新会員には一切割引はなく、旧会員には減額した上で、診察および尿、血糖値、心電図など7つの検査項目における割引が、今のところ維持される模様だ。
 ただし将来的には、旧会員への割引制度も廃止される可能性があるという。坂和副会長は、今回の変更の変わりに、「一般料金を付近の他の病院よりも低い値段に設定することも検討したい」と話している。
 各地区の援協窓口である地区委員らは、今回の変更に必ずしも賛同しているわけではないようだ。尾西貞夫地区委員長は、「本当は、できるだけ割引制度を維持したい。もう一度、役員を集めて制度のあり方を検討したい」との意向を示している。