ニッケイ新聞 2013年8月9日
地理統計院(IBGE)が7日、7月のインフレ率は0・03%で、過去3年で最低を記録したと発表した。だが、市場のインフレ懸念はまだ続いている。8日付伯字紙が報じている。
7月の広範囲消費者物価指数(IPCA)が、6月の0・26%から0・03%に下がった。これは2010年7月の0・01%以来の低率で、過去3年で最も低い物価上昇となった。
IPCAが下がった理由は二つある。一つは6月に勃発した全国規模のデモにより、多くの都市で公共交通機関のバス料金が下がったことだ。バス料金は7月に3・32%下がっている。
もう一つは食料の値下がりがあげられる。食料は今年前半のインフレ率を引き上げた最大要因の一つだったが、7月のこの部門のインフレはマイナス0・33%を記録した。値下がり幅が大きかったトマトは20・25%下がっている。
6日の労組間社会経済調査・統計所の発表によると、食料インフレの目安となる基礎食料品セット(セスタ・バジカ)は、マイナス8・86%を記録したブラジリアをはじめ、調査対象となった27の州都全てで値下がりした。これは、2007年以来の出来事だ。
7月のIPCAが低率となったことで、直近12月間の累積インフレ率は6月の6・59%から6・27%となった。これは政府のインフレ目標の上限である6・50%を下回っている。
ただ、この結果を受けても、市場のインフレ懸念が鎮静化されたわけではない。ジブラルタル・コンサルティングの経済学者ゼイナ・ラチト氏は、インフレは減速化したが、ドル高傾向にある為替の影響がどのくらいまで価格に影響したかはわからず、今後の経済基本金利(Selic)の動きを判断するのも難しいとしている。
また、リオ・カトリック・総合大学(PUC—Rio)のルイス・ロベルト・クーニャ教授によると、7月はバス料金の値下がりという特殊要因と食料の供給増加という季節要因とで物価上昇が抑えられたが、向こう数カ月は小麦関連の品や牛乳、牛肉などの値上がりが続く見込みで、「特別な要因がない8月は0・3%程度のインフレとなる」と見ている。小麦関連製品は7月も、小麦粉1・33%、フランス・パン0・68%、ビール2・68%などの値上がりを記録していた。
また、家庭内労働者の給与は7月も1・45%の上昇を記録しており、全体で0・64%上がったサービス部門も不安材料となっている。
7月のインフレ率に対し、ジウマ大統領は「インフレはコントロールできている」と強調した。ギド・マンテガ経済相は「穏やかではあるが、インフレは戻ってくる」とした上、「第3四半期の消費の活性化を願っている」と語っている。