ニッケイ新聞 2013年8月10日
「僕の祖父のアドルフォ・フォルチノは働き者で、いつも僕達の将来を考え、前に前にと進ませてくれる。僕らの事を自分の息子のように育ててくれた祖父は僕にとって父親そのものさ」—。
6歳だった時に父親がいなくなったという23歳のフェリッペ・フォルチノさんが〃父の日〃に寄せて話してくれたのは、2人の息子とアパートのローンを抱え、失業中だった母親のラヴィニア・フォルチノさんを支え、定年退職後も働き続けてくれた祖父の事だ。
4人の子供達を育て上げ、後はのんびり暮らせるはずだったアドルフォさん夫妻。だが、途方に暮れる娘達の姿を見て、それまで住んでいたアパートは人に貸せといって3人を引き取り、陰日向なく面倒を見てくれたのは、引退生活を送れるはずの祖父母だった。
アパートを貸せば、金が入る。お前達が食べるのに足りない分は俺が稼いで食べさせてやる。
娘達を引き取ってからのアドルフォさんの生活は、孫達が自分達の手で将来を築いていく事が出来るための糧や支えを与えるという目的に集約された。
結婚後に息子と娘が生まれたために、法学部を休学していたラヴィニアさんを卒業させるために学費を払い、フェリッペさんとその妹を私立の学校に入れてくれただけではなく、孫達が成長し、成熟していくために、常に謙遜と愛を持って一家を見守ってくれたのもアドルフォさん夫妻だ。
フェリッペさん自身は、祖父や母同様に法学部を卒業。祖父母とは別れ、母親と共に自分達のアパートに住むようになったが、祖父達の家はすぐそばで、今も行き来が途絶えない。
「僕が今あるのは皆、祖父母のおかげ。祖父のためなら何でもやるよ。本当に僕の誇りだし、僕のやる事は皆、祖父が身をもって教えてくれた事なんだ。僕の人生の目標は身近な人を助ける事。そう、僕の祖父が僕達にやって見せてくれたようにね」と語るフェリッペさんは、親愛の情を込めて「大好きだよ。心から父の日おめでとう」とのメッセージを書き送っている。(8日付グローボ局サイトより)