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カルテル巡り泥沼の戦い=CPI設置求めるPT=国まで含めとPSDB=動力部門の不正も表面化

ニッケイ新聞 2013年8月10日

 【既報関連】サンパウロ州や連邦直轄区(DF)の地下鉄工事、パウリスタ都電公社(CPTM)の車両購入と保守に関するカルテル表面化を契機に、14年の統一選を前に労働者党(PT)と民主社会党(PSDB)が泥沼の戦いを展開中と9日付エスタード紙が報じた。

 ドイツの多国籍企業シーメンスが懲罰回避を条件に情報提供を行った鉄道事業に於けるカルテルが、14年選挙を巡る動向にも影響を及ぼし始めた。
 カルテルとは入札価格などを事前に調整する談合の事。サンパウロ州やDFの地下鉄やCPTMの入札に於ける不正に関する同社提供の文書には、フランスのアルストン、カナダのボンバルディア、スペインのCAF、日本の三井など、世界的な多国籍企業名も登場する。
 日本の公正取引委員会に相当する経済防衛行政審議会(CADE)に提出された情報は、連邦検察庁や連邦警察の捜査資料ともされ、サンパウロ州のように、州検察局以外の特別捜査班まで設置して捜査を行う州も出ている。
 7〜9日付伯字紙によれば、CADEや州検察局には、シーメンスの汚職事件に関してドイツやスイスで行われた捜査結果も提供されており、ブラジル向けの贈賄額は800万ユーロ(約2440万レアル)、世界各国での汚職分も含むと13億ドルに上るという。
 贈賄は自社に有利になるよう動いてくれた政治家や公社関係者、公務員などに対するもので、密告文書には、元サンパウロ州知事の故マリオ・コーヴァス氏やジョゼ・セーラ氏、元交通局長のジョゼ・ルイス・ポルテラ氏らの名前も出てくる。セーラ氏らは関与を否定しているが、実際のところは今後の捜査が明らかにしてくれるはずだ。
 また、このところ頻繁に名前が出てくるのは、鉄道事業と共に電力事業での不正にも関与したとして連警が摘発したアルストンで、フレウリー・フィーリョ知事時代の交通局長ジョルジ・ファガリ・ネット氏(1994年)や、1998年当時エネルギー局長だったアンドレア・マタラゾ下議、EPTE(エレトロパウロの前身)理事らの名前も出てきている。
 サンパウロ州は20年近くPSDB政権が続いており、同党または同党関係者が不正に関与していたという事になれば、14年の選挙で再選を狙うジェラウド・アウキミン知事にとっても、苦戦を強いられる事になる。
 PTはこれらの情報をもとに、下院とサンパウロ州議会に議会調査委員会(CPI)を設置するよう働きかけている。これに対してPSDBは、鉄道事業での不正は、PTや連立党知事が治めるブラジリアやバイア州サルバドールといった自治体の地下鉄建設事業でも起きている事が確認されたのだから、連立与党や国も関与した全国レベルの問題として扱うべきと主張。同党サンパウロ州支部は8日、歴代知事の名誉を守るために戦う事を約束している。