ニッケイ新聞 2013年8月14日
パラグアイのカルテス新大統領就任に伴い、同国の南米共同市場(メルコスル)復帰が注目されるが、新大統領は依然として難色を示している。11、13日付伯字紙が報じている。
パラグアイは現在、12年6月に起きたルゴ元大統領の議会での電撃罷免が民主主義に反するものだと判断され、「正当な選挙による新大統領を成立させるまで」の期間、メルコスルの加盟権を剥奪されている。
同国では4月21日の大統領選でホラシオ・カルテス氏が当選し、明日15日に就任式が行われる。そのため、メルコスルは、6月にウルグアイのモンテビデオで行われた首脳会議でパラグアイの復帰を認めた。
だが、パラグアイが加盟権を剥奪されている間に、メルコスルが、同国がかねてから加盟に反対していたベネズエラの加盟を承認した上に、ベネズエラを議長国に選んだことにカルテス氏が難色を示していることで、パラグアイのメルコスル復帰が難航している。
その難航ぶりが伺えるのが、15日に首都アスンソンで行われるカルテス大統領の就任式だが、メルコスル加盟国からはジウマ大統領とウルグアイのホセ・ムヒカ大統領の参加だけしか確認されておらず、アルゼンチンのクリスチーナ大統領とベネズエラのマドゥーロ大統領の名前は入っていない。
ジウマ大統領は就任式出席のためにパラグアイを訪問した際、カルテス氏と個人的に会談の時を持ち、ブラジルへの公式訪問を要請すると共に、今一度、メルコスルへの復帰を促する意向だ。ルゴ大統領罷免後に召還した同国駐在大使には、エドゥアルド・マルチンス・フェリシオ元キューバ大使を派遣する予定だ。
パラグアイは国内総生産(GDP)の30%がメルコスルに絡んでおり、ブラジルとの関係が特に強い。同国のエラディオ・ロイザーガ次期外務相は、ブラジルとの関係は、メルコスルを通してよりも2国間で結ばれている友好条約を通じてさらに強化したいとしている。