ニッケイ新聞 2013年8月15日
13日未明、ルイ・モレイラ・リマ元空軍少佐が空軍病院で死去した。94歳だった。脳出血で入院し、47日間、同病院で闘病していた。
同少佐は第2次世界大戦に参戦したパイロットの一人で、「ブラジル空軍の英雄」と称された一方で、軍が支配した軍事政権(1964〜1985年)に反抗し、投獄も経験するという数奇な一生を送った。
1919年6月12日マラニョン州コリナス生まれのモレイラ氏は、39年に軍隊入りし、41年に空軍配属となった。第2次世界大戦中は44年11月にイタリア戦線に派遣され、45年5月までのあいだに94の任務を遂行した。作戦はことごとく成功し、「空軍の英雄」として尊敬を集めた。
帰国後はサンタクルース空軍基地の戦略担当司令官に就任したが、64年に勃発した軍のクーデターに反対の立場を取ったため役職を追われ、17年のあいだ飛行機の操縦も禁止された。民主主義をモットーとして軍事政権に反対したため、3度投獄され、強制的に退職させられた。
モレイラ氏は昨年10月、軍政に反対したために迫害された兵士第1号として、真相究明委員会での証言にも立った。軍政については「実権を握ったのは軍の少数派でしかなかった」と語り、「軍の仲間も共産主義者だと告発されて何人か逮捕された。私は自由なものの考えがしたかっただけだ」と答えている。
モレイラ氏は第2次大戦に参加した空軍パイロット最後の生き残りでもあったため、同氏の死を受け、空軍は文書を発表、「伝説の人物」「永遠に忘れられない存在」と称えた。だが、その文書には軍政時代に関しては触れられていない。
モレイラ氏の葬儀は13日に空軍歴史文化センターで行われ、その日のうちにリオのサンジョアン・バチスタ墓地に埋葬された。(14日付エスタード紙より)