ニッケイ新聞 2013年8月15日
ブラジルを訪問していた米国のジョン・ケリー国務長官は13日、米国がブラジルに対して行ったとされるスパイ行為の疑惑に対して、「ブラジルを含む、世界の安全を保障するものだ」と発言した。14日付伯字紙が報じている。
米国の国家安全保障局(NSA)の元調査員エドワード・スノーデン氏により、米国が米国内や全世界にスパイを送り、情報収集活動を行っているとの告発がなされたのは今年の6月だ。
さらに、スノーデン氏による告初を最初に記事にした英国紙「ガーディアン」の米人ジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド氏は今月6日、「ブラジルにも米国のスパイが及んでいる」とした上で、ブラジル上院に対し、米国がネットその他の通信手段を介して商業や技術に関する情報などを収集しているとの供述を行った。
そうした背景もあり、米国によるスパイ問題はブラジル内でも注目が集まっていたが、ケリー国務長官は13日、アントニオ・パトリオッタ外相との会談において「私たちの情報収集は米国をテロの危険から守ると共に、ブラジルをはじめ、世界の人たちを守っている」と発言した。
そのケリー氏に対しパトリオッタ外相は「(スパイ活動疑惑に対して)不透明なままでは、米国とブラジルの相互関係において不信感が募るだけだ」と詰め寄った。それに対してケリー氏は「ブラジルはスパイ問題に対する答えを知るのに値する国だ。双方の関係に支障を来たさないように努力する」と答えた。
パトリオッタ外相はケリー氏に対し、通信機器を使用した米国のスパイ活動を終えるよう強く要請した。
パトリオッタ外相は今回の会談について、「米国とブラジルとの間の新たな難題を示した」と答えた。同外相は「解明された事実を聞くことは目的そのものではないし、それをそのまま受入れるということでもない。わが国の主権や尊重されてしかるべき個々のブラジル民の自由を侵す行為は終わらせなければならない」とし、この問題に対し、今後も追究していく姿勢を見せた。
ケリー氏はパトリオッタ外相との会談の後、ジウマ大統領との会談にも応じたが、ここでもスパイ問題について「真相を明らかにしてほしい」と詰め寄られた。ケリー氏から外相に向けたのと同じ回答を受け取った大統領は、米国政府が「ブラジルの国民に関する情報を保護する」ことを保証することを求めた。
また両氏は、10月に予定されているジウマ大統領の訪米についても話し合ったという。