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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年8月16日

 レジストロ地方百周年連載を書きながらしみじみ感じるが、ブラジルの歴史を少しでもほじくり返すと、すぐに欧州の歴史とつながる。たとえば南大河州では1835年からファラッポスの戦いが起きたと同連載で書いた。この戦いには、のちに祖国統一に貢献するイタリア人英雄ジュゼッペ・ガリバルディも参加していた▼彼は1835年に南米に移り、最初は帝都リオ、1838年から南大河州に移って反乱軍大尉として戦った。そこで羊飼いの娘アナ・マリア・ジェズス・リベイロと知り合い生涯の伴侶となった▼彼はそのあとウルグアイでも戦争に参加した。南米でゲリラ戦術を磨きながら十年余りを過ごし、1848年に祖国へ帰還した。1860年に千人の義勇兵(赤シャツ隊)を率いてシチリア島に上陸し、賛同した農民が加わってどんどん兵力が膨れあがり、連戦連勝してシチリア王国を制覇、その勢いで南部全体をまとめあげてイタリア統一に劇的な役割を果たした▼ブラジル人妻は「アニータ・ガリバルディ」の名で夫と共に常に最前線で戦い戦死した。チェ・ゲバラもそのカリスマ性や農民を巻き込むゲリラ戦術を参考にしたとは有名な話だ▼統一戦争でイタリア各地は戦場となり食糧が不足し、大水害にも見舞われ、大量の移民を新大陸に送り出すきっかけになった。伊移民は当地で奴隷並みの扱いに苦しみ、それを祖国に告発する者もいて、伊政府も渡伯中止を宣言。そのために労働力不足に陥ったサンパウロ州の珈琲農園は日本移民に目を向けるようになった。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないが、「イタリアが統一されればブラジル日本移民が始まる」!?(深)