ニッケイ新聞 2013年8月17日
メンサロン事件上告裁判2日目の15日、ジョゼ・ジルセウ被告らの量刑見直しに繋がる可能性のある問題を審理するに当たり、最高裁長官と副長官との間で口論が起き、審理を中断して閉廷となる事態が起きたと16日付伯字紙が報じた。上告裁判は長引くと見る判事もいるが、長期化を避けたい長官と、量刑などの見直しまで含めた再審理を受け入れるべきとする判事らの間で緊張した状態が続きそうだ。
上告裁初日の14日はスムーズに運んだ審理が滞ったのは、ビスポ・ロドリゲスことカルロス・ロドリゲス元下議(自由党:PL、現共和党:PR)の、収賄罪に関する量刑見直し申請を扱っていた時だ。
同被告は2002年と2003年に賄賂を受け取っており、03年に発効となったより厳しい内容の法に基づいて決められた量刑の見直しを求めたが、この件に関するリカルド・レヴァンドウスキー副長官の発言がジョアキン・バルボーザ長官をいらだたせた。
メンサロン事件の公判中も、報告役のバルボーザ判事(公判中に長官に就任)と見直し役でやはり公判中に副長官に就任したレヴァンドウスキー判事との間での口論が頻発していたが、今回も、副長官が量刑見直しを呼びかけたのに対し、長官が「昨年の公判時とは考えが変わったのか」と質問。副長官は「正しい裁きを行いたい」と返答したが、長官は「この件の審理はもう終わっていたはずの時間」で「時間潰しの無駄な争いをしている暇はない」と発言した。
これを聞いた副長官は「私が無駄な争いをして時間を潰していると言うのか」と気色ばみ、前言撤回を求めたが、長官はそれを否定し、セルソ・デ・メロ判事の提案に従い、審理を中断した。
ロドリゲス被告の申請が認められると、ジルセウ元官房長官ら、収賄で断罪された全被告の刑の見直しを行う必要が生じる可能性もあり、上告を認めた被告に対する再審理数も増加する。
バルボーザ長官やジルマル・メンデス判事らは速やかな結審を望んでおり、ほとんどゼロから審理し直す必要のある再審裁はなるべく避けたいところだが、上告を受け付けるか否かを判断する段階で正副長官の口論が始まった事は、25人全員の上告裁判が長引く可能性も示唆している。
なお、15日の上告裁判では、メンサロン事件発覚のきっかけを作ったロベルト・ジェフェルソン元下議(ブラジル労働党:PTB)を含む、3人の被告の上告を棄却。ジェフェルソン被告は、減刑と共にルーラ前大統領を被告の席につかせる事を要請していたが、この訴えも棄却された。
上告裁判は21日、ロドリゲス被告に関する継続審理から再開される。