ニッケイ新聞 2013年8月20日
今年3月にあった野球の世界大会『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』にブラジル代表チームのエース格として参加したシカゴ・ホワイトソックスのアンドレ・リエンゾ投手(25)=アチバイア野球クラブ出身=が、7月30日のクリーブランド・インディアンス戦でメジャーリーグデビューを果たし、7回を投げ4対3と勝利投手の権利を持ち降板する好投を見せた。リリーフ投手が打たれたため、惜しくも初先発初勝利はならなかったものの、ブラジル野球史に残る大きな一歩を刻んだ。
9歳からアチバイアで野球を始め、ヤクルトアカデミーを経て2006年にホワイトソックスに入団。今年、3A(傘下の下部リーグ)チームで8勝を挙げたことが評価され、インディアンス戦からメジャーに昇格した。
12歳で家族とともに米国に移住したヤン・ゴメス捕手(26、インディアンス所属)が、昨年5月に初のブラジル人メジャーリーガーとしてデビューしているが、ブラジル内クラブで成長し、経験を積んだ選手のメジャー入りは初めて。30日のデビュー戦では、9番・捕手として出場したゴメスとの対決も実現するなど、歴史的な1日となった。
その後も中5日のローテションを守り、デトロイト・タイガース、ミネソタ・ツインズ戦に先発した。ともに初勝利を挙げるには至らなかったが、その好投ぶりでチームの信頼を得た。
今月15日に再びツインズ戦に登板し、6回を2失点(自責1)と先発の役割を果たし、後続のリリーフ陣に試合を託すも、4対3の逆転負けとなり、初勝利は次の機会に持ち越された。
「アチバイアで生まれ育った。生粋のブラジル人としては初のメジャー選手。本当に嬉しいかぎり」と興奮気味に話すのは、アチバイア野球クラブの総責任者を務める辻修平さん。デビュー以来4戦未勝利が続くも「24と1/3回で自責点10、防御率3・70は新人としては素晴らしい数字。1試合でも早く勝利を挙げてもらいたい」と期待を込めて話した。
21日午後8時(伯時間午後9時)から行われるカンザスシティ・ロイヤルズ戦にも先発登板が予定されている。