ニッケイ新聞 2013年8月21日
英国紙「ガーディアン」などに米国の諜報活動を暴露する記事を書いた米国人フリージャーナリスト、グレン・グリーンウォルド氏の恋人でブラジル人学生のデイヴィヂ・ミランダ氏(28)が18日、英国のヒースロー空港で「テロリスト防止法」違反容疑で身柄を拘束された事で、国内外からロンドン警察や英国政府に対する批判の声が上がっていると19、20日付伯字紙が報じた。
ミランダ氏が身柄を拘束されたのは18日(ブラジリア時間の早朝4時5分)、ドイツから帰国する途中で乗り継ぎの手続きをしようとしたところ、ロンドン警察の職員から「ついて来るよう」要請され、2時間ほど空港内を引き回された後、9時間にわたる尋問を受けた。
ロンドン警察はミランダ氏の身柄拘束はテロ防止法に則ったものだというが、同氏によると尋問内容はテロには一切無関係で、ブラジルの抗議行動やグリーンウォルド氏との関係、ミランダ氏の家族や友人の事などを質問、答えなければ投獄すると始終脅されたという。
グリーンウォルド氏は、米国が世界各国でスパイ活動を行っている事を告発した、同国中央情報局(CIA)と国家安全保障局(NSA)の元局員、エドワード・スノーデン氏からの情報を記事にした記者で現在リオ在住。ミランダ氏は今回、ガーディアン紙の金でドイツに飛び、ドキュメンタリー作家ローラ・ポイトラス氏にグリーンウォルド氏からの書類を渡した後、ポイトラス氏からの情報をグリーンウォルド氏に持ち帰る事になっていた。ポイトラス氏は、グリーンウォルド氏と共に、ガーディアン紙とワシントン・ポスト紙にスノーデン氏による告発に関する記事を執筆した人物だ。
ミランダ氏の所持品(コンピューターやペンドライブ2個、カメラ、携帯電話など)は警察が押収、グリーンウォルド氏やガーディアン紙弁護士と連絡を取る事も許されなかった。また、取調べ中は30分おきに水が出されたが、「薬物が入っていたらと思うと飲めなかった」という。
コンピューターのハードディスクとペンドライブはポイトラス氏から預かったもので、ミランダ氏の弁護士は、ロンドン警察が押収した機材や情報を捜査、損壊、破棄しないよう英国政府に求める手続きをとった。要請が無視された場合は最高裁に訴える所存だ。
英国政府はミランダ氏の拘束は警察が判断したもので政府命令ではないというが、米国はミランダ氏の身柄拘束の連絡を事前に受けていた。英国政府は7月、ガーディアン紙に対してスノーデン氏からの情報破棄を求め、応じなければ法的処分を科すと脅している。同社地下でのハードディスク破壊現場には警察官も立ち会ったという。
ミランダ氏は19日に帰国したが、テロ容疑による身柄拘束はスノーデン氏からの情報入手のための詭弁で、精神的暴力を蒙ったと英国を批判。アムネスティーインターナショナルなどからも批判の声が上がっている。などからも批判の声が上がっている。