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諦めないジョゼ・セーラ=ブラジル大統領選の名物男

ニッケイ新聞 2013年8月22日

 来年は大統領選挙も行われるブラジルだが、選挙のたびに出馬が話題になる政治家いる。ジョゼ・セーラ氏(民主社会党・PSDB)だ。
 セーラ氏は過去2回、大統領選挙に出馬しており、2度とも決戦投票まで進んだものの敗れた。最初は2002年、1995〜02年に大統領をつとめた同党の先人フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ大統領の後釜として臨むも、労働者党(PT)のルーラ氏に敗れた。2度目は2010年、序盤は優勢と伝えられたものの、最後はルーラ大統領の推薦を受けたジウマ氏に敗れた。
 この経緯から、セーラ氏は大統領選では非常に有名な存在だが、話題はそれだけではない。2004年にはサンパウロ市長選に立候補し当選。06年には、PSDBからの大統領候補をサンパウロ州知事だったジェラウド・アウキミン氏に譲り、その後釜として、市長任期を2年残してサンパウロ州知事選に立候補し、当選した。
 知事の任期を終える10年に大統領選挙に立候補して敗れると、12年には党からの要請でサンパウロ市長選出馬依頼を受け立候補。一次投票は1位で通過したが、決選投票でフェルナンド・ハダジ氏(PT)に敗れた。
 大統領、サンパウロ州知事、サンパウロ市長というブラジルきっての注目度を誇る選挙に、この11年のうちに5度挑戦したのがセーラ氏。それでも大統領には手が届かなかった。
 2012年、セーラ氏は70歳を迎え、サンパウロ市長選にも敗れた。大統領選では3回連続してPTに敗れているPSDBは、セーラ氏より18歳若いアエシオ・ネーヴェス氏を14年の大統領選候補にすべく、13年5月に同氏を同党党首に選んだ。
 それでもセーラ氏の大統領選への出馬意欲は揺るいでいない。同氏は党内での大統領候補選挙を主張し、自分がPSDBからの候補になれない場合は、同氏に興味を示す社会大衆党(PPS)からの出馬も辞さない構えを見せている。
 アエシオ党首はそんなセーラ氏へ歩み寄る姿勢を見せ、党内大統領候補選挙の可能性を8月20日に示した。アエシオ氏自身は前回10年の選挙時に大統領選出馬の意欲がありながらも、党の意向からセーラ氏に候補が決まり、涙をのんで断念したいきさつがある。
 PSDBで党内選挙が実施された場合、セーラ氏の勝算は薄いとされているが、ブラジルの世論調査機関「ダッタフォーリャ」の最新調査では、アエシオ氏よりセーラ氏の方が得票率が高く、拒絶率が高いのが難点ではあっても、知名度は依然高いことを証明した。
 そんなセーラ氏をめぐるブラジル国民の評価は、「なぜ、そこまで権力に固執を」との批判の声と、「夢をあきらめない姿勢が良い」と賞賛する声とに分かれている。