ニッケイ新聞 2013年8月23日
【既報関連】16日に行われたメンサロン上告裁判でジョアキン・バルボーザ長官とリカルド・レヴァンドウスキー副長官の論争が起きた連邦最高裁での審理が21日に再開され、問題となっていた被告の上告が却下された。これにより、メンサロンを計画したとして有罪判決を受けたジョゼ・ジルセウ被告(労働者党・PT)の減刑の可能性も低くなった。2日付伯字紙が報じている。
16日の公判では、レヴァンドウスキー副長官が、元下院議員のカルロス・ロドリゲス被告(自由党・PL)の「収賄が2002〜3年であったにもかかわらず、2003年以降に適用されたより厳しい法律で罰せられた」として上告への考慮を提案したところ、バルボーザ長官が「無駄な時間稼ぎをするつもりか」と返した。その言葉を侮辱と取った副長官が長官に発言の撤回を求めたが長官は撤回を拒み、法廷内が騒然としたため、審議が打ち切られていた。
法廷は21日に再開したが、バルボーザ長官は謝罪を行わず、「最高裁は、透明性があり、かつ遅れのない裁判を行う責任を負っている」と発言し、メンサロン裁判を早期に終了させたいという意向を伺わせた。
問題となっていたロドリゲス被告の上告に対する投票は、8対3で上告棄却となった。上告を認めるとの票を投じたのは副長官とジアス・トフォリ判事、マルコ・アウレーリオ・メロ判事のみで、昨年のメンサロン裁判時に関わっていなかったテオーリ・ザヴァスキ判事とルイス・ロベルト・バローゾ判事は棄却に票を投じた。
これで、6年3カ月の実刑判決と罰金70万レアルという同被告の刑は確定した。
ロドリゲス被告の上告が認められれば、ロドリゲス被告の贈賄事件に絡んだメンサロン事件の仕掛け人との判決を受けたジルセウ被告の減刑も認められる可能性があったため、上告が受理されるかが注目されていた。これが棄却されたことで、ジルセウ被告の立場も苦しいものとなった。
21日には、マネー・ロンダリングに関与した農業銀行幹部3人の上告も却下された。これにより同日までに25人の被告中11人の上告が却下されたことになる。現在まで上告が承認され、再審理が確定した被告は出ていない。
公判後、レヴァンドウスキー副長官は「口論は嘆かわしい」とし、「この法廷は判事1人1人よりも大きな存在だ」とし、この口論はもう済んだこととした。
だが、バルボーザ長官への批判は他の判事から起こっている。長官と副長官の口論を16日にいさめた最高裁最古参のセウソ・デ・メロ判事は、「最高裁で判事の表現の自由を阻むことは許されない」として、バルボーザ長官の16日の対応を批判した。また、アウレーリオ・メロ判事も、「法廷内にある様々な見解を検閲するようなことはあってはならない」とそれに続いた。