ニッケイ新聞 2013年8月27日
ブラジル高知県人会は24日、『県人会創立60周年記念式典』を同会館で開いた。高知県出身で〃移民の父〃とよばれる故水野龍氏の息子、龍三郎さんや、母県からは黒岩正好・県議会副議長ら8人の慶祝団、アルゼンチンとパラグアイの高知県人会からも役員らが来伯し、約200人が節目の年を共に祝った。慶祝団一行は式典後、昨年から青年部がサンパウロ市アグア・ブランカ公園で行っている「土佐祭り」の開会式にも出席。同祭は今年からサンパウロ市の公式カレンダー入りも果たすなど盛り上がりを見せており、一行は県人会の歴史を称えるとともに、青年らの活躍を喜んだ。
同県人の移住は1908年の笠戸丸移民の移住とともに始り、約7千300人を数える。水野氏を始め、下元健吉コチア産組専務理事や中沢源一郎スール・ブラジル農協理事長など卓越した人材を輩出してきた。1953年、氏原彦馬さんが率先しサンパウロ市に県人会を設立、73年に会館が建設された。現会員数は約250家族。
片山アルナルド会長は「『いごっそう』(快男児)と『はちきん』(男勝りの女性)の精神を生かし、会の発展向上に努力したい」と一言ひとことを噛み締めるように挨拶をした。
「これからは若い世代が中核となり、会が活発化していくと確信する」会員に語りかける尾崎正直知事のビデオメッセージも会場に流された。
半世紀以上、会活動に貢献してきた武吉七郎さんと、婦人部8人に功労賞、百歳以上の会員・田鍋義美、山本民樹さんに高齢者表彰が贈られた。また、安部順二連邦下議の秘書・宮原ジョルジ氏から高橋一水名誉会長に感謝状が贈られた。
武吉さんは感謝を述べるとともに、「県人会の柱は『会員の相互親睦』と『子弟の留学研修』。次世代を受け継ぐ若者育成のためにも、留学研修受け入れ制度の継続を」と訴えた。
母県のRKC調理師学校で学んだ山西小百合さんも研修生を代表して登壇し「夢は日本食店を開くこと」などと語った。
続いて鏡開きとケーキカットが行われ、高橋名誉会長の乾杯の音頭で会食に移った。
参加者らは、婦人部が泊りがけで作った鯛の蒸し、カツオのたたき、姿寿司、桜餅などのご馳走を思う存分堪能しながら、カラオケやサンバなどの余興を楽しんだ。
堀川久美子(63、二世)さんは結婚して高知に住む娘の森岡留美(33、三世)さんと料理に舌鼓を打ちながら「鯛の蒸しなんて、もう母県では殆ど知っている人がいない」と笑った。
24、25の2日間開催された「土佐祭り」は、日本文化普及を目指し、武田アウグスト青年部長らが企画したもの。今年は規模を約2倍にして開催、多くが来場した。
開会式には、同祭を市の公式行事に加えた野村アウレリオサンパウロ市議など多くの日系議員も出席。慶祝団一行は若い県人会子弟の率先や、多数のブラジル人が参加し交流が行われていることを喜んだ。