ニッケイ新聞 2013年8月28日
連邦政府の医療政策「マイス・メジコス」に応募し、地方などで働く外国人医師らがブラジルに到着し、26日から全国8州都で21日間の研修が始まっている。26、27日付各伯メディアが報じている。
ブラジリアで行われた研修開始のセレモニーでパディーリャ保健相は、2001〜03年にインディオの部族に対して行われたマラリアの予防プログラムに携わった経験を語り、「自分はその部族の言葉を全く話すことができなかったが、もし我々がそこに行かなければ多くの人が命を落としていた」と強調、集まった外国人医師らに対し「ポルトガル語を話せないことを恥だと感じる必要はない」と語った。
外国人医師らは3週間の研修で、ポルトガル語、当地の医療法や公衆衛生の現状、SUS(統一医療保健システム)、ブラジル人の国民性などを学ぶ。試験で望ましい成績を残せず、不合格となった場合は帰国する。
キューバ人医師のダニーロ・サンチェスさん(49)は「ブラジルでは各地方に独自の文化がある。この研修は重要だと思う」と期待をあらわにし、サルバドールで働くポルトガル人医師のラウル・ラマーリョさん(66)は患者との会話に困らないよう、バイーアの方言の辞書を購入したという。
ただ、同政策に対しては国内の医師団体による反発や偏見が根強い。セアラ州フォルタレーザには96人の外国人医師が到着し、そのうち79人はキューバ人だった。同地では、地元の医師組合員が最初の授業が行われた公衆衛生学校(ESP)前でデモを行い、到着したキューバ人医師を「奴隷」と呼び、ブーイングを浴びせたりして、波紋が広がっている。
労働検察局などから問題視されているキューバ人医師らが受け取る給与額に関して、パディーリャ保健相は、医師らがキューバで受け取っている給与(25〜45米ドル)と同じ金額に20%上乗せされる形で支払われると説明。キューバのマルシア・コバス副保健相は、伯政府から支払われる10万レの40〜50%を医師らが受け取ることを明らかにした。
全国医師協会(AMB)、連邦医学評議会(CFM)は、国外で取得した医学部卒業資格がブラジルと同等の資格を有することを承認する試験(Revalida)を受けていない外国人医師が行う医療行為は違法だとし、23日に政策差止めを求めて最高裁に訴えを起こしている。