ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 崩壊したビルは違法建築=死者8人、負傷者26人に

崩壊したビルは違法建築=死者8人、負傷者26人に

ニッケイ新聞 2013年8月29日

 【既報関連】サンパウロ市東部のサンマテウスで27日に崩壊した商用ビルは、市役所の差止め命令にも関わらず、工事が継続された違法建築で、土地所有者と賃貸契約を結んだ会社とが責任のなすりあいをしていると28日付伯字紙が報じた。
 建設工事は正式な建築許可もなく始められており、3月13日に書類不備で1159レアルの罰金が科せられた後、同25日に10万3500レアルの追徴金が科せられた上、工事差止め命令も出たが、工事はその後も続行されていた。
 土地所有者は借り手のTorra Torra(以下、T社)には7月に物件を委譲済みとし、T社の依頼で工事を継続していたサウヴァッタ・エンジェニャリア(以下、S社)が連絡もなく工事の内容を変更した事が事故を招いたとしている。だが、T社は「S社には同ビルの安全性を確認させたのであって工事内容の変更はされてない、T社とS社は共に被害者」との声明を出した。
 崩壊事故後に現場に派遣された消防士や警官、防災局職員は200人を超えた。救出作業は夜を徹して行われ、28日未明までの死者は8人、負傷者は26人。28日も行方不明者2人の捜索が続けられている。
 生存者らによると、作業員は以前から工事の安全性を疑っており、構造が脆弱である事は所有者も知っていたという。24日に行った検査でも危険性が指摘され、補強策が採られる予定だった。
 28日朝からはショベルカーも導入して救出作業を継続中だが、作業員の大半は他州出身者で、家族からの連絡がない行方不明者が埋まっている可能性もあるという。