ニッケイ新聞 2013年8月31日
政府の医療政策「マイス・メジコス」に応募した外国人医師の研修が各地で始まっているが、少なくとも4州11市で、同地で勤務するブラジル人医師を解雇し、同政策で派遣される医師と〃取り替える〃方針だと30日付フォーリャ紙が報じた。
同政策で派遣される医師の給与(月1万レ)や諸手当ては連邦政府が支払うため、市の財政負担が軽くなることが主な理由だ。また、派遣医師らは最低3年の契約で勤務するため、インフラが脆弱なために医師の定着率が低いという状況に頭を抱える市にとっては大きなメリットとなる。
現時点で医師〃取り替え〃の方針を示しているのは、アマゾナス州のコアリ、ラブレア、アナマン、バイア州のサペアスー、ジェレモアボ、ノヴァ・ソウレ、サンタ・バルバラ、セアラ州のバルバーリャ、カスカヴェル、カニンデー、ペルナンブコ州のカマラジビの4州11市。
現在、政府の家族健康計画(PSF)で派遣されている医師団には連邦政府から約1万レの補助が出ているが、給与の一部やその他の経費は各自治体が負担している。
医学部を卒業して間もない医師に2万5千レ、専門医には3万5千レを払っているコアリ市(マナウスから船で421キロ)は、一次募集で応募し、研修を終えた医師を迎えたら、現在勤務中の医師を解雇するという。
ただ、同政策はそもそも医師不足を解消するという目的で始まったもので、これらの市の方針はその目的に逆行する。このような動きは、かねてからある国内の医師団体の強い反発にも拍車をかけるとみられる。
なお、29日付フォーリャ紙は、汎米保健機構(PAHO)を通じてキューバ人医師4千人を導入する協定はマイス・メジコスの実施発表前の4月に結ばれていたと報道。30日付エスタード紙も、少なくとも半年前からブラジル人教師がキューバ各地に渡り、ポ語やSUS(統一保健システム)などに関する授業を行っていたと報じており、政府が以前からキューバ人医師導入を検討していた可能性を指摘している。