ニッケイ新聞 2013年9月4日
【既報関連】8月28日、13年の懲役判決を受けて服役中のナタン・ドナドン下院議員(ロンドニア州選出、元PMDB)の罷免の可否を問う議員投票で賛成が過半数に達しなかったとして、下院が同下議の議員資格を剥奪としない決議をしたことが、各界からの大きな反発を呼んでいる。連邦最高裁では2日、その審議を無効とする暫定命令を下した。世界でも珍しい「獄中の現役連邦議員」を巡って、3日付伯字各紙が報じている。
8月28日のドナドン氏の審議では、議員資格剥奪には議員総数の過半数の賛成が必要だったが、わずか24票足らず、罷免を免れた。ドナドン本人も現役議員として投票したことを含め、PMDBやPTなど与党側議員に欠席者が相次ぎ棄権も多かったことなどで、下院の倫理性への批判が高まっている。
これを受け、最高裁のルイス・ロベルト・バローゾ判事は2日、罷免投票を無効にする暫定命令を下した。下院がもう一度審議することになるが、現段階ではいつ再投票が実施されるかは不明。ドナドン氏の議員資格は保持されているが、議席は補欠のアミル・ランド氏によって占められている。
アウヴェス下院議長はドナドン氏が罷免されなかったことを問題視しており、この件に関して連邦総弁護庁(AGU)に意見を求めていたりしていたことから、今回の最高裁でのこの決定は渡りに船と言えそうだ。
今回のバローゾ判事のこの決定は、メンサロン裁判以来注目の的となっていた「議員の罷免問題」に新たな関心を集めるものとなった。最高裁はメンサロン裁判で昨年12月に「有罪判決を受けた時点で議員は罷免したものと見なす」という判決を下した。ところが、議会側は「〃議員の処遇は議会で〃と憲法でも定められている」と反発していた。
しかし、8月8日にイヴォ・カッソル上院議員(ロンドニア州選出)が懲役4年(昼間外出許可付き)の判決を受けた際の裁判では、最高裁はメンサロン裁判の際とは異なる「罷免は議会側の判断」との判決を出していた。バローゾ判事はこの時は「議会判断」を支持していた。
だがバローゾ判事は今回、「ドナドン氏の場合は実刑(服役義務)が2年2カ月もあり、残った議員任期の1年5カ月を上回っている」とし、「この場合は投票せず、議会で即時罷免すべきだった」との見解だ。
このバローゾ氏判断を、メンサロン裁判で懲役判決を受けた4人の下院議員に適用すれば、ジョゼ・ジェノイーノ下議(PT)は昼間外出許可付きだから「議会判断」、ジョアン・パウロ・クーニャ下議の場合は服役義務が1年半あり、現時点で既に任期が1年4カ月しか残っていないことから「議会で即時罷免」が有力となる。