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「明らかな国家主権の侵害」=ジウマ大統領に諜報活動=10月の訪米中止も俎上に

ニッケイ新聞 2013年9月4日

 ジウマ大統領と補佐官や側近とのやり取りが全て米国の諜報活動の標的にされていたことが報道で明らかになり、問題視した同大統領は10月に予定されている訪米の中止をほのめかしている。3日付エスタード紙が報じている。
 1日、TVグローボでの報道番組「ファンタスチコ」の中で、同大統領とその側近が米国の国家安全保障局(NSA)からメール傍受や携帯電話の盗聴を受けていたとする資料が暴露され、大統領への米国諜報活動疑惑が明らかになった。その時期は2012年6月だという。
 この資料は、現在ロシアに亡命申請中の元NSA局員エドワード・スノーデン氏によるもので、英国の新聞「ガーディアン」NSAの告発文を書いたリオ在住の米国人ジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド氏に提供されたもの。
 この報道を受け、ジウマ大統領は2日、大統領府で7人の大臣と緊急会議を行った。同大統領は今回のスパイ活動は産業分野に関してのものだといい、岩塩下層油田に関するものや、空軍の飛行機購入などのロビー活動に絡むものだと見ている。「大統領が狙われているのだとしたら、企業家たちはもっと危険な立場にある」と大統領は憤慨しているという。
 ジウマ大統領は、米国のオバマ大統領からこの問題に関しての説明がなされない場合、マウロ・ヴィエイラ駐米大使を引上げさせることも考慮しており、また、6日にロシアで行われるG20世界首脳会議でも、米国による諜報活動問題を議題として取り上げたいとしている。
 また、9月24日にニューヨークで行われる国連の盗聴に関する裁判にも今回の問題を持ち込むことも考えているという。これらの問題がこじれた場合、10月に予定されている訪米が中止される可能性もある。
 また、先週新たに就任したフィゲイレド外相は「明らかな国家主権の侵害であり、いかなる理由を持っても許されるものではない」と強いコメントを発し、2日にトーマス・シャノン駐伯米国大使を外務省に呼び、ブラジルの立場を伝え、書面での説明回答を求めた。