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百年史編纂委員会解散へへ収支は6万8千レ黒字にへ過去最高額の周年誌編纂

ニッケイ新聞 2013年9月4日

 ブラジル日本移民百周年記念協会の日本語版百年史編纂刊行委員会(醍醐麻沙夫編纂委員長)による百年史プロジェクトが完了、同委員会が9月をもって解散するにあたり、上原幸啓理事長、松尾治執行委員長、蛯原忠男総務が会計報告に来社した。
 収入は計70万2891レアル、支出は計63万4282レ。特に支出が多かったのは調査費をふくむ人件費(約16万1千レ)、印刷代などの出版費(約14万6千レ)のほか、約70人もの執筆者への謝金(約12万3千レ)だ。
 資金不足が懸念されたが、2宗教団体からの寄付金をえて難関を乗り切った。松尾執行委員長は、「お金が足りるかどうかヒヤヒヤしたが、誰にも迷惑かけずに終えられた」と安堵の表情だ。
 収入の内訳は、JICA助成金が約25万4千レ、寄付金約20万レ、日伯商工会議所の助成金17万5千レ、本販売金約7万3千レだった。寄付金のうち約17万6千レ分は、前述の宗教団体によるもの。
 08年4月に別巻写真集『目で見るブラジル日本移民の百年』(風響社)を日本で刊行したのを手始めに、4冊(全5巻)が刊行された。
 最初の『農業編』の田中規子コーディネーター(後に解任)の時に編纂作業が遅滞混乱し、「結局3万レアル前後が未回収になった」(蛯原総務)という。それを含め、各巻平均で15万レアルもの経費がかけられたことになり、過去の周年誌の中でも最も大きな資金が投じられた事業となった。
 松尾執行委員長は「遅れたことをお詫びし、執筆者、協力者、寄付をくれた皆さんに改めて感謝したい」と述べた。上原理事長は「おそらく日本語で編纂されるものとしては最後、それに相応しい内容になった。この本は立派なブラジルの歴史の一部です。何十人もの貴重な経験談が詰まっている」と手にとることを薦めた。同理事長も「貴重な史料なのでポ語版があればもっと良い」と認めつつも、翻訳版を出す予定は今のところない。
 01年に百周年祭準備委員会が発会し、03年に百周年祭典協会が発足した。その定款には「10年間を活動期間とする」と明記されていることから、今年中の事業終了が予定されていた。
 ただし、二世学識経験者を中心に進められているポ語版百年史編纂委員会は、「日伯社会文化統合機関」の事業となっているために引き続き編纂が続けられるという。
 残金(6万8608レ)は同統合機関に譲渡される。その他、購入したコピー機などの機材や在庫計338冊はサンパウロ市文協に寄付された。特に最終巻は残部8冊のみで、今を逃がすと全巻を揃えることは難しくなりそうだ。