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ドナドン問題=記名投票案が下院通過=施行までには時間を要すか=上院議長は早期解決望む=改正法案二つが同時進行

ニッケイ新聞 2013年9月5日

 【既報関連】3日の下院本会議で、全ての法案に対する投票を記名式にする憲法改正案が満場一致で承認された。無記名投票問題はナタン・ドナドン下院議員が議員罷免を免れて以降、注目されているが、下院を通過した改正案は上院の承認が必要とされている。4日付伯字紙が報じている。

 ロンドニア州議会の資金を横流しした罪で6月から懲役13年の刑で服役中のドナドン氏が8月28日の下院で罷免を免れたことは、エンリケ・アウヴェス議長(民主運動党・PMDB)を動揺させた。「議会はこれまで軍政はじめ、難しい事態に直面してきた。だが、今回の罷免回避は議会の信頼を揺るがしかねない最大の危機だ」と同議長は口にしている。
 これを受けて下院では3日、「議会での投票を全て記名式にする」という憲法改正案(PEC349)の票決を行った。これは01年に当時下院議員だったルイス・アントニオ・フレウリ氏が出した提案で、下院では06年に第1回目の承認を得た後、2回目の投票が7年間持ち越されていたが、3日は452対0の満場一致で下院を正式に通過、上院に回された。PEC349は、上下両院だけでなく、州や市の議会での投票も記名式にすることを求めている。
 この下院での行動に対し、レナン・カリェイロス上院議長(PMDB)は難色を示した。「一刻も早く問題を解決しなくてはならないのに、これでは憲法改正とその施行に時間がかかる」と同議長は述べている。
 レナン議長の発言は、上院が既にアルヴァロ・ディアス上議が昨年提案した「議員罷免投票時の無記名投票廃止案」(PEC196)を承認し、下院に送付してあるからだ。同法案は下院の特別委員会で審議中で、そこで承認されれば下院本会議で2回承認されるだけで大統領の手に渡り、PEC349よりも短い過程で施行にこぎつけられる。アウヴェス下院議長は特別委員会での承認までに必要な2週間を待つことを嫌ったようだ。
 PEC349は上院の憲政委員会と特別委員会での承認と上院本会議での2度の投票が必要で、発効まで時間がかかる。同法案は上院との打ち合わせもなく本会議にかけられ、上院での審議にどのくらいの時間を要するか不明だ。同法案の下院通過が遅れたのは、大統領が行使した拒否権に関する審議などで「連邦政府が議会に圧力をかける可能性がある」ことを嫌う声があったりしたためで、上院での反応の予想はつかない。議会での投票を全て記名式にすることは、ジウマ大統領が実現を求めた政治改革の項目の一つでもある。
 下院ではPEC196に関する投票を今月18日に行う予定だが、PMDBのエドゥアルド・クーニャ下院リーダーのように「一時凌ぎの小規模なPECには投票しない」と、根本解決を望む声もある。
 また、メンサロン裁判で議員罷免判決を受けた下院議員を擁する労働者党(PT)や他の与党はPEC349が自党議員の罷免投票に影響するか否かに注目している。