ニッケイ新聞 2013年9月5日
2009年から毎年、日本祭りに出演しているシンガーソングライター・今村つばささん(28、石川県、本名翼)が、今年からブラジルをメインに活動している。長いさらさらの黒髪、華奢な身体におしとやかな口調。そんな〃お姫様〃のような雰囲気を持つつばささんは、ファンの大半を占める非日系の女の子の心をつかんだ。昨年立ち上げたポ語のフェイスブックページ(www.facebook.com/cantoratsubasa)には早や2万人以上が登録。日本語やギターを学び始めた子も少なくないという。つばささんは「日本人として歌えることがありがたい。日系人の皆さんに感謝」と笑顔を見せた。今年は4カ月間滞在し、ポルト・アレグレからバイーアまで全伯ツアーを行っている。
ポニーキャニオンからアルバムを全国発売し、デビューした2009年、所属するカラーマークミュージック(石川県)の日系人プロデューサー、ロベルト・レゴナッチさん(36、三世)が記念来伯公演を勧めた。
「滅多にない機会」と来伯したつばささんは、「色んな人と知り合えた。それから毎年日本祭りや七夕祭りに参加している」と語る。
普段は石川県を拠点に活動しており、ブラジルには20日程度滞在するだけだった。しかし、「つばさの音楽はほかの日本人音楽家とは全くちがう。日本より、むしろ色々な種類の音楽を好む人がいるブラジルに合うのでは」(ロベルトさん)との考えで、活動拠点を当地に移すことに。
しかし、生活拠点は日本。「ファンの多くは、私の日本での生活に興味を持っているから」だという。ネットを通してポ語の曲やジャバンなど有名ブラジル人音楽家のカバー曲のほか、コインランドリーやゲームセンターなどブラジルにない日本の日常風景を紹介する動画(www.youtube.com/user/cantoratsubasa)を配信、好評を博している。
おかげで今年は、全伯各州から公演の依頼が舞い込んだ。現在、ブラジルでCDを発売するため、音楽出版社と予定を調整中だ。
つばささんは「距離は遠いけど心は近くなれるよう、お互いの国のことを伝えていきたい」と〃ブラジルデビュー〃への意気込みを見せた。
99年ソニーディスク&テープ大賞を受賞、2009年に全国デビュー。これまでにCD4枚、DVD1枚を発売した。日本、韓国、フランス、ブラジル等で活動している。