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過去2回の有罪判決=上告中の元議員を大使に=懸念されるアンゴラとの関係

ニッケイ新聞 2013年9月7日

 外務省は先月23日、不正入札、公金横領などの罪で断罪され、現在上告中の元下院議員、ジョゼ・カルロス・フォンセッカ・ジュニオル氏(53)が次期駐アンゴラブラジル大使に指名され、アンゴラからも承認を得たと発表したと5日付フォーリャ紙が報じた。
 エスピリト・サント州出身の同氏は80年代から外交官として勤務し、98年に旧PFL(現DEM)所属で下議当選。その後ジョゼ・イグナシオ・フェレイラ知事時代(1999—2002)に同州財務局長に就任、ペドロ・マラン元財相の補佐官も経験しており、2010年から駐ミャンマー大使を務めている。
 州財務局長時代の公金横領罪で有罪判決が出たのは、ミャンマーに派遣後の2011年のことだ。判決では5年9カ月の禁錮刑と1万8120レの罰金、外交官資格剥奪が言い渡された。
 また、連邦議員時代の罪で2010年にも有罪判決。2006年に発覚した「サンギスーガス」(Sanguesseugas)と呼ばれた収賄疑惑に関わったとして、18万9千レを国庫へ返金するよう命じられた。連邦警察によれば、州内の自治体の救急車購入費の名目で余分に予算を計上していたものだ。同氏はこの両方の件で上告、最高裁での手続きに入っている。
 同紙の調べによれば、アンゴラ大使館はこのことに関して外務省に抗議したという。しかしアグレマン(一国が外交使節を派遣する際、任命する人物について前もって相手国に求める承認)は既に発効されており、事実上アンゴラ政府の意に反した形で人事が決定される見通しだ。
 アンゴラはブラジルにとって重要な位置づけだ。ポルトガルの元植民地で石油の宝庫、ペトロブラスやバーレ、大手ゼネコンのオデブレヒト、カマルゴ・コレイアといった大企業が投資している。アンゴラへ進出したブラジル企業への2000〜13年の社会経済開発銀行(BNDES)の融資額は27億米ドルに上る。貿易関係も活発で、ブラジルからアンゴラへの輸出額は今年上半期で6億7600万米ドル、輸入額は5億7千万米ドルに及ぶ。
 同氏のマルセーロ・ベッサ弁護士は不正入札に関する同氏への起訴に「ひどい間違い」があると指摘。「彼は通信局ではなく財務局長だった。財務局長は通信局が指定したものに従ってサインをしただけ」だという。
 外務省は「現在裁判所で進行中の件は推定無罪とみなされる。しかも判決に応じている。法的な観点から見れば問題はない」とコメントしている。ブラジリアのアンゴラ大使館は同紙の取材に応じなかった。
 今後は上院の諮問にかけられ、そこで承認されれば正式決定する。