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軍警一家殺害=調書も少年犯行説裏づけか=遺族の中には今も違和感

ニッケイ新聞 2013年9月7日

 8月5日にサンパウロ市北部で起きた軍警一家殺害事件から1カ月後の5日、遺族6人が警察で疑問解明を試みたが、13歳の少年が両親と祖母、大叔母を殺害後に自殺との説を信じ切れずにいると6日付伯字紙が報じた。
 軍警巡回機動隊のルイス・マルセロ・ペッセギーニ軍曹(40)と妻で軍警18部隊のアンドレイア・ボヴォ・ペッセギーニ伍長(36)、息子のマルセロ君、アンドレイアさんの母親のベネジッタさん(65)とその妹のベルナルデッテさん(55)の5人が遺体で発見されたのは8月5日夕方。翌日は、少年が5日未明に母親の銃で4人を殺害後、母親の車を運転して学校の近くまで行き仮眠、授業後は友人の父親の車で帰宅し自殺との見解が発表された。
 担当警部の手許には、教師や学友、少年の担当医、母親の同僚などの証言と鑑識結果の一部が届いており、遺族にも見せたというが、遺族らは2人の学友の証言と鑑識結果を見たのみだという。
 6日付G1サイト掲載の鑑識結果によれば、就寝中だった少年の父親は被弾後約10分で死亡。銃声を聞いて駆けつけたであろう母親は夫を助けようと跪いたところを背後から撃たれ即死。離れで寝ていた祖母は至近距離から撃たれほぼ即死。同室で寝ており、物音で気づいた大叔母も1メートル足らずの所から2発を浴び、数分後に死亡とある。犯行に使われた銃には焦げた少年の髪の毛がついており、左手に銃を使った際についたと思われる傷がある事などは少年が自殺した事を示すという。
 事情聴取では、学友達が、少年が祖母を殺そうとした事があり、当日も「また殺し損ねたのか」との問いに「今日は成功した」と答えたなどと証言、軍警からも「母親が脅されていた」などの証言が寄せられていた。
 だが、遺族達は今も少年が犯人だとは信じ切れず、5日も「警察や鑑識が彼の犯罪だと立証するなら口をつぐんで受け入れる」が「彼の仕業ではないと信じている」と発言。「48人の証人が彼を指差しても3万人の人は彼ではないと考えている」という54歳の大叔父は、精神鑑定などは出揃っておらず、未解明との立場を貫いている。