ニッケイ新聞 2013年9月7日
【既報関連】本紙6月13日付けで報じた通り、今年4月に観光省に多額の〃借財〃があると判明したパウリスタ・カラオケ連合では7月31日、山尾俊雄会長(73、二世)らが事態把握と解決を目的に観光省を訪ねた。その結果、同会長は「担当者と話し、支払うよりほかないと判断した。会員の協力を得て、できるだけ今年中に解決をしたい」と本紙に語った。支払い総額は22万260・32レアル。先月末にすでに10万レアルを支払い、残り約12万レは来年4月末までに分割で完済したいという。現在、会員らが支払いに充てる寄付金を集めている。同会長は「UPKは歴史ある団体。その名前をこれ以上汚すと日系人として恥になる」と自身の任期を終えるまでに完済する意向を見せた。
日本移民百周年の2008年、同連合はアニェンビー会場でパウリストンを開催するにあたり、観光省から20万レの補助金を受け取った。当時の会長だった結城ルイス氏はイベント後、業者を通して報告書を作成し、同省に提出した。イベントの総予算額は51万7500レで、うち「4割弱を補助する」との考え方から観光省から20万レが支払われた。
しかし後日、領収書がきちんと揃った20万レ分の明細報告は観光省で承認されたが、UPK自己負担分の31万余レ分に領収書などがないので承認されなかったことが判明した。「必要書類が未提出」と判断され、同省からその分の返金を求める通達が届いた。
同省では20万レ分の報告書しか認可されなかったことから、事業全体をその金額と判断し、20万レの4割弱にあたる分を支援額と算定、残りの約12万2千レ分(6割強)の返還を求めた。補助金を受けた08年12月からの利子が加算され、支払い総額は約22万レに膨らんでいた。
同省では11年と12年に通知を送付したが、書類は業者の手元にあったため、UPKによる事態の発覚が遅れたという。6月29日に東洋会館で開かれた総会の議事録によれば、初期段階で事態を把握していた同業者は、何度か同省に対し反証を行っていたようだ。
その反証内容を結城前会長に尋ねた所、観光省あてに作成した書類を見せた。UPK負担分の31万余レの内訳は「協定に従い、ボランティアによる無償奉仕など第三者の協力を金銭に換算した金額」だから領収書などが発生せず、報告書に添付できなかったようだ。
書類作成業者は「我々は法に基づき正確に書類を作っており、09年以降の申請も全て認可されている。このケースは官僚側のミスだ」と主張している(議事録より)。省内の担当者が交代し、〃解釈〃が変わった可能性もあるようだ。結城前会長は「債務不履行」の撤回を求めるべく、同省の幹部との面会の段取りを進めるなどして対策を講じていたという。
しかし、7月29日にUPKに届いた3通目の通達には、「書類を受け取った日から15日以内に支払わなければ、連邦会計監査院に回す」との警告があった。同監査院は厳重な会計検査をすることで知られており、山尾会長らは急いで同省を訪ねて担当者と面会したが、「不足書類を今から提出されても受付けない」と言い渡された。
山尾会長は来年の20周年記念大会までに解決したいとの意向があり、結城前会長らの反証が通る保証がない以上、「UPKの汚名を晴らすには支払いに応じるしかない」との結論に至ったという。
同省からは「観光省かUPKが結城前会長を訴える」との選択肢も提示されたが、山尾会長は同行したアルリンド・エイジ・イトウ会計と相談し、電話で副会長の了承をえて、支払いの道を選んだ。帰聖後すぐに地区役員による会議を開き報告、15人中14人の承認を得たという。万一UPKが支払えない場合は、署名した山尾会長が責任をとることになる。