ニッケイ新聞 2013年9月10日
エスタード・デ・サンパウロ紙とFM局ノラジオ・エルドラドが共同で開催していた「ブラジル一のクラシックの名曲」を決めるキャンペーンの結果が9月7日に発表され、エリス・レジーナとアントニオ・カルロス・ジョビンの「アグア・デ・マルソ(三月の水)」がその栄冠に輝いた。
エスタード・デ・サンパウロ紙とエルドラドFMはこのひと月ほど「ブラジル一のクラシックの名曲」を選ぶ投票を、双方のサイトで受け付けていた。それは事前に選ばれた50曲の中から読者が1曲だけ選んで投票するもので、対象曲は最も古いものが1915年、最も新しい曲で1988年というものだった。
50曲の中で1位に選ばれたのは、ブラジルの60〜70年代を代表する女性歌手エリス・レジーナが、ボサ・ノバの名作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンと1974年にデュエットした「アグア・デ・マルソ(三月の水)」だった。この曲は2人が共作したアルバム「エリス&トム」の1曲目を飾る曲としても知られるが、このアルバム自体も、昨年、エスタード紙とエルドラドが独立記念日に発表した「ブラジル最高のアルバム」で4位に選ばれており、かねてから人気が高かった。
また2位には「アクアレラ・ド・ブラジル」が入った。1942年のディズニー映画「中南米の旅」で歌われた曲で、ブラジルのアニメ・キャラクター、ゼー・カリオカと共に知られる曲だ。英米圏では「ブラジル」の曲目でナット・キング・コールの名唱でも有名だ。
3位にはシコ・ブアルキの1971年の名曲「コンストゥルッソン」が入った。同名のアルバムは昨年の「最高のアルバム」で6位だった。
4位には北部バイーアの民族衣装姿の演奏で有名な「バイオンの父」、ルイス・ゴンザーガの1947年の代表曲「アーザ・ブランカ」、5位にはブラジル版ジャズとでも言うべき「ショーロ」の父、ピシンギーニャの1915年の代表曲「カリニョーゾ」が入った。
6位にはリオの「サンバの父」、カルトーラの「アス・ローザズ・ノン・ファーラン(沈黙の薔薇)」(1976年)が入り、世界的に有名なボサ・ノバの名曲、ジョアン・ジルベルトの「イパネマの娘」(1963年)は7位に終わった。「サンパウロ発祥のサンバの名曲」として知られるアドニラン・バルボーザの「トレン・ダス・オンゼ(11時の電車)」は8位で続いている。
9位には70年代のブラジル最大のロックのカリスマ、ラウル・セイシャスの「オウロ・デ・トロ」(1973年)が入った。この曲を収めたアルバム「クリグ・ア、バンドーロ」は昨年の「最高のアルバム」で5位だった。ラウルのドキュメンタリー映画「ラハウル・セイシャス〜終わりなきメタモルフォーゼ」は10〜11月に日本5都市で開催される「ブラジル映画祭」でも公開される。
10位には、今回の投票で1位に輝いたエリス・レジーナが「コモ・ノッソ・パイス」(1976年)で2曲目の10位入りを果たしている。(7日付エスタード・デ・サンパウロ紙より)