ニッケイ新聞 2013年9月10日
「ブラジル史上最大のマニフェスタソンを」—。独立記念日の7日、フェイスブックなどで事前に呼びかけられ、実施が予告されていた抗議行動が全国各地で起こり、200人以上が拘束された。8日付エスタード、フォーリャ両紙などが報じた。今回は6月の〃抗議の波〃のように具体的な要求を掲げたデモは少なく、一部デモ隊はパレードに侵入して警官隊との衝突を繰り返して混乱を招いたことから、ジルベルト・カルバーリョ大統領府総務長官は、「焦点が定まらず、内容のない抗議行動だった」と遺憾の意を示した。
7日の独立記念日には、伝統的にカトリック信者と社会運動家が組織する「グリット・ドス・エスクルイードス」と呼ばれる集団が、社会的弱者の社会参画などを訴えるデモ行進を行うが、今年は特にリオやサンパウロはじめ各地で、アナーキズム信奉集団で顔を隠して暴力行為を働く「ブラック・ブロックス」の暴挙が目立った。
例えばフロリアノーポリスでは、顔を隠した若者が「革命を起こしたい。革命はヴァンダリズム(器物破損などの迷惑行為)ではない」と言い、ベレンでは同じく黒ずくめの若者が全ての為政者と政党に反発して声をそろえたが、具体的な要求を叫ぶことはなかった。
サンパウロ市では一部デモ隊が市議会への侵入を試み、警官との衝突で40人が逮捕され、4人が負傷した。リオでは軍警によるパレード用に用意された通路に一部デモ隊が侵入し、77人が逮捕され、12人が怪我をした。
他にもベロ・オリゾンテ、サルバドール、レシフェ、フォルタレーザ、マセイオ、クリチーバ、ポルト・アレグレなどで警官隊とデモ隊の衝突、銀行やバス、車の販売店への攻撃などのヴァンダリズム、パレードの妨害などが起きた。
ブラジリアでは国立博物館付近で衝突が起こり、軍警が水のジェット噴射その他で威嚇するなどの混乱の中、50人が拘束される事態となったが、公式パレードそのものは平和に終わり、ジウマ大統領に危害が及ぶことはなかった。
ただし、ブラジリアのパレードを観覧しに集まった人は昨年の4万人から1万人に激減し、例年より短い1時間20分で終了した。大統領の観覧席にはミシェル・テーメル副大統領、ジョアキン・バルボーザ最高裁長官、連邦直轄区のアギネロ・ケイロス知事、グレーシー・ホフマン官房長官、セルソ・アモリン防衛相などが並んだが、上院下院の議長は共に欠席した。カルバーリョ長官によればセレモニーには3千人が招待されたが、デモを恐れてか出席者は少なかった。
2011年9月7日のブラジリアでは3万人が集まって政治家の汚職撲滅を叫ぶデモを行い、2012年は官庁が立ち並ぶエスプラナーダで8千人がデモ行進した。